“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
10年前のドラフトで考えるオリックス。
才能の大小より球団との相性が大事!?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/10/14 10:30
そのマウンド度胸と速球が魅力の西勇輝。今季オフはFA権行使の問題で悩みも深いか……。
チームと選手との相性は確実に、ある。
甲斐は投球フォームに悪い癖がなく、プロで挫折するタイプには見えなかった。それが一軍に1試合も登板できずに退団するとは……。
私が成功の目安にしている「50勝」に満たない、というのなら話はわかる。50勝は乗り越えるにはかなり厄介なハードルである。しかし、あの甲斐が「1試合も登板できない」というのは理解に苦しむ。
それに対して、3位で入団した西勇輝(投手・菰野高)は新人年から今季まで、毎年登板を欠かさず、74勝65敗、防御率3.30という見事な通算成績を残している。
恩師の戸田直光・菰野高監督は「130キロそこそこの投手が体をしっかりと鍛えれば、140キロまで速くなり、プロを狙える投手になるんだなと教えてくれた」と取材に答えている。西は、それくらいプロとは縁遠い存在だったのだ。
球が速いとか打球の飛距離が凄い、という価値観とは別の物差しがないとアマチュア球児の評価はできないと思い知らされた選手だ。
4、5位の高島毅(内野手・青山学院大)、西川雅人(投手・四国九州IL・愛媛)は甲斐、伊原と同様、プロではほとんど試合に出られなかった。
改めて指名選手を見れば、オリックスと相性のいい社会人は1人もいなかった。
'06年の大学生&社会人ドラフト希望枠で獲得した小松聖は東都大学2部リーグの国士舘大で4勝しかできず、JR九州では入社2年目に素質が開花した遅咲き。そういう選手との相性のよさを追求すればよかったと……あとになって痛感した。