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負けると観客が減るのはどの球団?
12球団の成績と観客数を調査する。

posted2018/10/13 17:30

 
負けると観客が減るのはどの球団?12球団の成績と観客数を調査する。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

即日完売が恒例になった広島カープのホームゲーム。増設しない限りは、現状を維持していくことが当面の目標になる。

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Hideki Sugiyama

 先日、DeNAの広報の人と横浜スタジアムの周辺を歩いていたら、増設工事が進む観客席を見上げて「新しい観客席もいっぱいにするためは、うちはもっと強くならないと」つとぶやいた。

 DeNAといえば広島と並んでチケットがとりにくい人気球団だ。でも、球団の人にしてみれば「この人気がいつまでで続くのか」と思っているのだ。

 ここ数年、プロ野球は観客動員を着実に増加させている。

 2014年からのNPB公式戦の観客動員数の推移。%は平均動員観客数の前年対比の増減。

2014年 2285万9351人 平均2万6457人
2015年 2423万6920人 平均2万8248人 106.8%
2016年 2498万1514人 平均2万9115人 103.1%
2017年 2513万9463人 平均2万9300人 100.6%
2018年 2535万8666人 平均2万9798人 101.7%

2014→2018観客数増減112.6%

 2018年は10月8日時点。まだ5試合残っているから、2540万人を突破するのが確実だ。NPBは2005年から観客動員を実数発表にしている。それ以前は、お客さんが数えるほどしかいなくても球団発表は1000人という時代もあった。そうした時代も含めて、今年の2535万人超という数字は、NPB史上最多だ。確かにブーム到来といえるかもしれない。

 しかし球団ごとの観客の増減を見ていると、ファンの動向は、球団によってまちまちだということがわかる。

 ここ5年の12球団の成績と観客動員の推移を見ていこう。

 まずはパ・リーグから見ていこう。年度ごとの勝率と平均観客数。%はいずれも前年比。

パ・リーグ

<西武>

2014年勝率.450(5位)    平均2万0811人
2015年勝率.500(4位)111.1% 平均2万2456人 107.9% 
2016年勝率.457(4位) 91.4% 平均2万2791人 101.5% 
2017年勝率.564(2位)123.4% 平均2万3239人 102.0% 
2018年勝率.628(1位)111.0% 平均2万4833人 16.9% 

2014→2018観客数増減119.3% 

 2014年の5位から4位に上がって勝率5割に復帰すると観客数は急増、翌年4割台に落ちると増加はしたものの伸び悩む。そして今年、優勝すると大幅増。西武ファンは「チームが強いと見に行く」志向を持っているといえそうだ。

<ソフトバンク>

2014年勝率.565(1位)    平均3万4284人
2015年勝率.647(1位)114.5% 平均3万5221人 102.7% 
2016年勝率.606(2位) 93.7% 平均3万5112人 99.7% 
2017年勝率.657(1位)108.4% 平均3万5094人 99.9% 
2018年勝率.577(2位) 87.8% 平均3万6149人 103.0% 

2014→2018観客数増減105.4% 

 常勝ホークスは、勝率が上下してもあまり数字が動かない。5年前に比べて5%ほど数字は伸びているが、ファンが「勝つこと」に慣れている印象がある。

 このチームはダイエー時代に今の「ボールパーク構想」のもととなったマーケティングを展開し、男性だけではなく女性や子供のファンも増やした。その結果パで一番の観客動員となった。しかし本拠地ヤフオク!ドームの定員は3万8530人。動員率は93%台だから、飽和状態が近いのかもしれない。

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