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擁護と批判で炎上とまらず。
セリーナ騒動の核心とは?
~スポーツの「外側」へ延焼~
posted2018/10/06 06:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
大坂なおみとの全米決勝でのセリーナ・ウィリアムズの言動が騒動になった。海外の報道はセリーナ擁護と批判に二分、国内のネットでは誤った解釈も拡散している。この場を借りて考えを整理しておきたい。
第一に、主審の判定には何の瑕疵もない。3度の警告はいずれも妥当で、ルール上、セリーナが1ゲームを失うのは当然だ。
全米テニス協会会長のカトリーナ・アダムスを含め、判定に男女でダブルスタンダードが存在するという見方も多いが、これには計量的な裏付けはあるのか。少なくとも主審のカルロス・ラモスは男子にもルールを厳しく適用し、適用をめぐって何度も選手の激しい抗議を受けてきた。主審には、もめごとを防ぎ試合を円滑に進める役割もあるが、当然、ルールの番人でもあり、彼はセリーナの行為に酌量の余地はなく、どれも警告に値すると判定した。アダムス会長の言う「期待していなかった終わり方」を招いたのは、興奮し、我を忘れたセリーナの行為だった。