“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-16アジア制覇を支えたBチーム。
紅白戦から本気で戦う集団だった。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/10/10 17:30
アジア制覇を達成したU-16日本代表。森山監督(前列中央)のもとでサッカー選手としての原点を磨き上げる大会となった。
決勝で結果を残した2人を起用。
1度目のチャンスに応えた選手は少なかった。だからこそ、W杯切符という最低目標を達成した後のオーストラリア戦で「もう一度やってみろ!」と彼らを再び起用したのだ。
その結果は実った。立ち上がり早々に失点するが、後半にFW唐山翔自(ガンバ大阪ユース)の2ゴールで試合をひっくり返すと、“控え組”だったMF三戸舜介(JFAアカデミーU-18)がとどめのゴールを決めて、3-1。愛ある“追試”を見事にパスした。
そんな彼らに対して、森山監督もタジキスタンとの決勝戦で応えた。オーストラリア戦で奮起した唐山と三戸の2人と、GK野澤大志ブランドン(FC東京U-18)の3人をスタメンでピッチに送り込んだ。
野澤はピンチを救うビッグセーブを見せたし、唐山と三戸の動きにほかの見方も触発された。そしてエースの西川潤(桐光学園高)が今大会初ゴールとなる決勝弾を叩き込み、実に6大会ぶり3度目のアジアチャンピオンの栄冠を掴み獲ったのだ。
紅白戦ではBチームが勝つことも。
「2試合目に出して良かったやつは次、準決勝に出して良かったやつは次。それを実行しただけです。スタメン表を見ても、決勝戦は最初のスタメン組よりもオーストラリア戦に近いメンバーになりましたよね。それだけオーストラリア戦がすごくよかったわけだし、『俺だろ!』としっかりとアピールしてくれた。それに決勝の前日の紅白戦でBチームの方が勝って、もう一度スタメンを考え直すことになったんです」
森山監督はこう語った。決戦の地・マレーシアにやって来て約1カ月。日に日に紅白戦の強度が増したことが優勝への“伏線”となっていた。
「最後の1週間、紅白戦の2、3試合はBチームの方が勝っていた。Bチームという表現がいいかは分かりませんが、スタメン組と別にもう1チームできる中で、どうしてもそういう区分で紅白戦をやります。ただ全員が主体性を持って、“このチームで自分ができることは、役割は何か?”という気持ちを持ち続けて戦ってくれた」