“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-16アジア制覇を支えたBチーム。
紅白戦から本気で戦う集団だった。
posted2018/10/10 17:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
筆者は全国各地でのスポーツ関連の講演会で、必ず口にする言葉がある。
それは「本当に強いチームは、紅白戦の“Bチーム”も強い」というものだ。
試合だけでなく、練習という日常の中でもしびれる“戦い”が存在すれば、チームは強くなる。控え組扱いであるBチームが時に勝つほどの紅白戦なら、トップチームの人間には危機感が生まれるし、Bチームの選手も「さらに上を食ってやる」と意欲を燃やす。その相乗効果でチームが活性化する、ということだ。
「試合には日常が出る」
この言葉を具現化しているのが、世代別代表の“02ジャパン(2002年以降に生まれたU-16日本代表の愛称)”だ。森山佳郎監督は前述した“戦い”を植えつけることに長けている。つまり日本でもトップクラスのモチベーターであり、チームを同じ方向に導ける指導者なのだ。
レギュラー組以外も積極起用。
今大会、手腕が発揮された象徴的な試合は、準決勝のオーストラリア戦と決勝のタジキスタン戦だ。準々決勝でオマーンに2-1で勝利し、来年ペルーで開催されるU-17W杯の出場権を掴み獲り、その後迎えた準決勝では、森山監督はレギュラー組中心だったオマーン戦から7人を入れ替えた。
この大幅な変更は、グループリーグ第2戦のタジキスタン戦でも敢行した。ただその時のチームは拙攻を繰り返してスコアレスドローに終わった。
「選手には『(出るのは)俺だろ!』と常にアピールしてほしい。こっちも競争を煽りながら、現時点で一番活きのいい選手と言うか、一番活躍できる選手がスタメンを勝ち取るんだよと提示した。レギュラーはこいつら、後は“そうじゃない選手”と分けて回しているのではなくて、しっかりとチャンスを与えながら“それを掴めるか、掴めないのか”とシビアに判断する」(森山監督)