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青学無双の予感が漂った出雲駅伝。
原監督は「いやあ見事だったね」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2018/10/09 17:00
青山学院の黄金時代が陰る気配は一向にない。今年も箱根まですべてのタイトルで優勝を争いそうだ。
控えが他校であればエースのタイムを出す。
敗れた酒井監督は、1区の駆け引きをこう振り返る。
「相澤としては、あそこで引き離すしかなかったですからね。判断は悪くない。でも、まだ力不足ということでしょう。いい勉強になったと思います」
出雲駅伝が終わった現段階で、11月4日に行われる全日本大学駅伝を予想すると、「青学一強」という構図が見えてくる。
今年の青学大は過去に例を見ないほど、選手層が分厚い。毎年、出雲駅伝が終わった後、各校の出場できなかった選手たちが5000mのタイムトライアルに参加するのだが、青学大の神林勇太(2年)は13分58秒の自己ベストをマークした。
他校であれば、エースのタイムである。
その神林が補員に回っているところに青学大の底知れぬ力がうかがえる。
青学無双がはじまるのか。
全日本で青学大に挑戦できるのは、東洋大と東海大か。
東洋大も8人までなら、勝負できる。区間配置がうまくいけば、青学大にチャレンジできるだろう。
東海大は選手層で対抗できる可能性があり、エース対決でも青学大と十分に勝負できるはずなのだが、出雲を見る限り、勢いに欠ける。東洋大、東海大とも全日本では先手を取りたいが、果たしてどんな作戦に出るだろうか。
対する青学大は、全日本でも8区間でトップを譲らない可能性もある。原監督も、
「そのチャンスはあるでしょう」
と自信をのぞかせるほどだ。
昨年の全日本は1区で出遅れたことが敗因となっただけに、安定した力を持つ選手を起用してくるだろう。そうなると、橋詰の可能性も出てくる。橋詰本人も、
「今日走ってみて、1区の楽しさが分かったような気がします。監督がそういうなら、全日本も1区かもしれませんね(笑)」
と、まんざらでもなさそうな表情だった。
2018年、青学無双。
この相手を負かすのは、容易なことではない。