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馬術の世界選手権でメダルに肉薄!
「日本もいるぞと存在感を示せた」
posted2018/09/24 11:00
text by
北野あづさAzusa Kitano
photograph by
Azusa Kitano
アジア競技大会が終わり、いよいよ2年後の東京オリンピックが具体的に視野に入ってきた。馬術競技はアジア大会直後に世界選手権大会が行われ、各種目の上位6カ国が東京オリンピックの団体出場枠を獲得した。
この大会は4年に1度、オリンピックの中間年に開催され、オリンピック種目だけではなく、あらゆる馬術競技が行われる世界最大規模の大会だ。
ドイツ、フランス、イギリスなど世界の強豪が集結するこの舞台で、完全にノーマークだった日本が存在感を示した。
指揮官は細野茂之。日本馬術連盟の総合馬術本部長であり、大会時には監督を務める。自身も選手として2度オリンピックに出場した。2006年のドーハアジア大会を最後に、国際大会からは引退したが、総合馬術にかける思いは強い。
2020年に向けた総合馬術のマイルストーンは明確だ。「アジア大会で金メダル、世界選手権で入賞、東京でメダル」である。
アジア大会の金メダルは現実的な目標だった。日本は過去の大会で、金メダルと銀メダルを交互に獲得しており、その順番でいくと今年は“金メダルの年”でもあった。
アジア大会ではインド、タイと並んで優勝候補の一角であり、「金以外はあり得ない」という強い気持ちで臨んでいた。チーム構成は、オリンピック経験選手3人と初代表の1人、合わせて4人。
開催地のジャカルタは気温と湿度が高く、競技環境は厳しい。日本の猛暑よりマシとはいえ、日本代表4人のうち、2人は日本、2人はヨーロッパをベースにしている。日本組は高温多湿の環境を経験しているが、ヨーロッパ組の2頭は初体験。しかし獣医師、グルーム(馬のケアをするプロフェッショナル)、コーチ、トレーナーらすべてのスタッフが力を合わせて馬をケアし、コンディションを整えた。
3つの種目のトータルで争う総合馬術。
総合馬術は、3日間をかけて同じ人馬のコンビで戦い抜くトライアスロンのような競技だ。馬場馬術競技、クロスカントリー競技、障害馬術競技の3種目のトータルで順位が決まる。
アジア大会の競技レベルは、国際競技の中では最も低いワンスターだが、だからと言って簡単に勝てるわけではない。少しでも気を抜けばミスにつながる。
初日の馬場馬術で、日本はまずトップに立った。クロスカントリーはタイムの設定が厳しいと思われたが、結果的に4人馬ともが決められたタイム内にゴールした。そして最終日も安定した走行で2位との差を広げ、危なげなく優勝。個人競技でも、チームのキャプテン、大岩義明が逆転優勝を決めた。
日本はアジア大会総合馬術競技で、団体と個人の2つの金メダルを獲得。細野監督は「有言実行できてホッとしました」と胸をなでおろした。