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J1首位・広島をお尻から支える
池田誠剛コーチと「座らない椅子」。 

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石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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photograph byToshihide Ishikura

posted2018/09/21 08:00

J1首位・広島をお尻から支える池田誠剛コーチと「座らない椅子」。<Number Web> photograph by Toshihide Ishikura

『座らない椅子』でトレーニングする様子。サンフレッチェ広島の今季の好調を支える“秘密道具”だ。

足で地面を“叩く”ように。

 池田フィジカルコーチが教えている走り方は、足の幅を狭くして、地面を足で“かく”のではなく、“叩く”こと。

「そうやってグラウンドからの床反力を受ければ、意識的に太ももを上げなくても、叩いたと同時に逆の足が上がる」

 それを連動させていくことで、スピードを生み出そうというものだ。

 広島では今季、1月の全体練習初日からランニングフォームを指導。足で地面を“叩く”動きにつなげるため、腕は振るのではなく、“ひじで地面を叩く”ように教えた。新しいフォームで「全力で走っている感じがしない」と言った選手が、タイムが速くなっていて驚いた、というケースもあるという。

 足で地面を“叩く”ときに使うのは、臀部(お尻)や股関節周辺の筋肉で、体を動かすのに最も大きな筋群。その部分の機能性を高めることが、より大きなパワーの発揮、走力につながり、ひいては、ふくらはぎなど筋肉系のケガが起こりにくくなる、というのが池田フィジカルコーチの考え方だ。

相撲の四股を踏ませることも。

 そして、話は冒頭の「座らない椅子」に戻る。

 選手が腹ばいになって鍛えているのは、臀部周辺の筋肉。足で力強く地面を“叩く”ために、お尻周りを鍛えているのだ。

 臀部周辺や下肢の強化としてポピュラーなトレーニングは、スクワット。だが池田フィジカルコーチは「いろいろな考え方がありますが」と前置きした上で、次のように語る。

「トレーニングの負荷は、ピッチ上で起こり得る状況に、より近い状態でかけることが重要なポイントだと考えます。トレーニング効果がパフォーマンスに直結するトレーニング方法を周りの方々のヒントも参考にして考えていました」

 方法の1つとして相撲の四股を踏ませるトレーニングがあり、広島でも採り入れている。だが四股は力の入れ具合や、臀部の筋肉に負荷をかけるのが難しい。

 そこで考えたのが「座らない椅子」だった。

【次ページ】 知り合いの鉄工所に頼んで製作。

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