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J1首位・広島をお尻から支える
池田誠剛コーチと「座らない椅子」。 

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石倉利英

石倉利英Toshihide Ishikura

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photograph byToshihide Ishikura

posted2018/09/21 08:00

J1首位・広島をお尻から支える池田誠剛コーチと「座らない椅子」。<Number Web> photograph by Toshihide Ishikura

『座らない椅子』でトレーニングする様子。サンフレッチェ広島の今季の好調を支える“秘密道具”だ。

サッカー選手は走り方が悪い?

「選手たちのランニングフォームが、すごくきれいだったんです。当時ミランのフィジカルコーチはピンコリーニさんという、元陸上選手の方で、ランニングフォームの指導にかなりの時間をかけていました。練習の中で『走り方を教える』ことのプライオリティーが高かったんですよ」

 この経験がベースとなり、池田フィジカルコーチは走り方に着目した指導を進めてきた。その中で見えてきたのは、サッカー選手の“走り方の悪さ”だった。

「サッカー選手の走り方を陸上の専門家が見ると『どうして、あんなにおかしな体の使い方をしているのか』と感じると、かなり以前から聞いていた」と語る。

 Jクラブで育成年代を担当したときは、同じ早稲田大同期の親友であり、現在同大学の競走部監督である礒繁雄氏に、週1回のランニング指導を依頼した。浦和のアカデミー時代に指導した関根貴大は、スピードを武器にトップチームに昇格し、その後は海外に新天地を求めている。

 横浜FMのアカデミー時代に指導した選手では、先日のコスタリカ戦で日本代表にデビューしたばかりの天野純や、喜田拓也、富樫敬真(FC東京に期限付き移籍中)がトップチームに昇格した。

走る時の足の幅が広すぎる。

 サッカー選手によく見られる走り方の問題点とは、簡単に言えば「走るときの足の幅が広すぎる」ことだ。

 大きく踏み出して走ると、接地する前足が自分の重心より前に行くため、ブレーキがかかる。その後に重心が前足に乗ると、今度は前足の膝から下を使い、地面を“かく”ようにして後ろに蹴って進む。

 ブレーキをかけて、かく。ブレーキをかけて、かく。これを繰り返すと、ふくらはぎの筋肉に大きな負担がかかり、試合終盤の疲労はもちろん、肉離れなど負傷の要因にもなる。

【次ページ】 足で地面を“叩く”ように。

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