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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「引退会見はドイツ語だけ」ルールも…長谷部誠は日本記者のため「日本語の時間」を作った 現地記者が見た引退試合での「気配り」「ファンの愛」
posted2024/05/20 17:03
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Itaru Chiba
引退試合はEL出場権を争う試合だった
元日本代表キャプテンの長谷部誠がついに、ブンデスリーガ最終節のライプツィヒ戦で現役生活最後の時を迎えた。試合前のアップで、同じくこの日引退する盟友セバスティアン・ローデを先頭にフランクフルト選手がピッチに姿を現すと、すでにほぼ満席状態のゴール裏のファンから大きな拍手が起こる。選手はみなローデと長谷部の姿がプリントされた記念Tシャツでアップを行っていた。軽やかな動きで仲間とパス交換をしながら、ファンに手を振る2人はベンチスタート。
監督のディノ・トップメラーは「いくつかのシナリオが頭にあったが、試合がどうなるかはわからなかった。前半で負傷者が出るかもしれない。長い時間2人のことを考えながら、交替枠を残すことができて良かった。多くの出場時間を与えられなかったのは残念だが、最後に2人をピッチに送ることができて良かった」と試合後にコメントを残している。
フランクフルトが来季ヨーロッパリーグ出場確定となる6位を確保するためには、引き分け以上か、他会場でホッフェンハイムがバイエルンに引き分け以下になることが条件。そのホッフェンハイムがバイエルンに4-2と逆転勝ちをし、フランクフルトも一時は0-2とライプツィヒにリードを許す試合展開だったため、長谷部の出番がなかなかやってこない。
席を立つファンはほとんどいない
後半32分に同点に追いつき、ようやく長谷部はローデとともにアディショナルタイムから出場。最後となるピッチを踏みしめた。名前がアナウンスされると、大きな、大きな「マコトー!」のコールと万雷の拍手。長年キャプテンを務めたローデが続く。心からの感謝を込めた2人への声援がやまない。空気がびりびり音を立てるほどの大きな声援だ。