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800頭の被災馬と競馬を守る人たち。
馬や騎手のためにも早期再開を祈る。
posted2018/09/15 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
9月6日(木)未明に発生した最大震度7の北海道胆振東部地震は、周辺の馬産地にも大きな被害をもたらした。
震度6弱の揺れに襲われた日高町の門別競馬場は、地震発生当日から開催中止に追い込まれ、今も再開されていない。
主催者のホッカイドウ競馬企画広報グループの吉川貴紀氏によると、スタンドのガラスが割れるなどしたが、人が立ち入れなくなるような被害はなかったという。停電は発生2日後の土曜日の午前11時ごろには復旧した。しかし、今も断水がつづいている。
「発生から2時間から3時間ほどで貯水タンクの水が尽きて、止まってしまいました。ですので、コースに散水するときに使っている地下水を汲み上げ、散水車で厩舎に水を供給しています。
それでも、水道が通っていないとスタンドのトイレを流すことも、場内の掃除もできません。お客様をお迎えできる状況ではないので、現時点では、9月20日まで開催を中止することを決定し、少しでも早い復旧を目指している段階です」
800頭の被災馬はどう暮らしているか。
地震発生当日在厩していた800頭ほどが「被災馬」となってしまった。
ここ門別競馬場で30馬房の厩舎を構える川島洋人調教師は、地震が発生した午前3時8分ごろは、ちょうど起き出す時間だったが、まだ眠っていたという。
「揺れというより、音がひどかったので飛び起きました。すぐに様子を見に行ったところ、馬たちは最初のうちは動揺していましたが、怪我もなく、すぐに落ちつきました。余震で落ちつきを失うような馬もいません」
発生当日は厩舎内の部屋で寝ていたが、川島調教師の自宅は、震源周辺の厚真町に隣接するむかわ町にある。
「室内がメチャメチャですし、地盤の状態などが今も不安ですので、自宅には戻っていません。水道が通っていないと洗濯もできないですし、風呂は、近くの施設に入りに行っています」