沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
800頭の被災馬と競馬を守る人たち。
馬や騎手のためにも早期再開を祈る。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2018/09/15 08:00
コスモバルクなどを生み出したホッカイドウ競馬。独自の取り組みで経営を続けてきただけに、今回の震災も乗り越えて欲しい。
半年しか開催がなく、中止の影響は大きい。
10日に予定されていた能力検査(基準タイムを定めた模擬競走)が13日(木)の13時から行われ、2歳馬6頭、3歳馬3頭が合格した。
「ここで調教はできていますが、まだ競馬ができないので、盛岡などほかの競馬場に使いに行く調教師もいます。ただ輸送などのコストもかかるので、行けるのは勝算のある馬だけです。
半年しか開催のないホッカイドウ競馬で、これだけレースが中止になると厳しいですね。馬主さんとしては、競馬がないと馬を置いておいても仕方がないからと、馬を別の場所に移動させる動きなどもあるようです」
北海道を離れる馬を引き止めるために。
そうした状況に対し、自身も新ひだか町で牧場を経営し、生産者を代表する立場で北海道議会議員をつとめる藤沢澄雄氏はこう話す。
「14日の金曜日、橋本聖子参議院議員(自由民主党競馬推進議員連盟会長)らと一緒に、門別競馬場に行って関係者と話をしてきました。調教師さんによると、今年はもう開催はないだろうと見越して門別競馬場を離れる馬が出ているらしいんです。
このままだと、ライフラインが復旧して開催できるようになっても馬がいない、という状況になりかねません。そこで『9月25日をメドに再開を目指す』とアナウンスをしたほうがいいのではないか、と提案しました」
だが、水道が復旧していないという不安は残る。現状でも調教後に馬体を洗う水が不足しているので、さらなる水の確保が必要になる。また、場内の水洗トイレが使えないままなら簡易トイレを置くなどの措置が求められるだろう。
「道内の電気不足という状況がありますので、まずはナイター照明を使わない昼開催にして再開し、電力事情が改善されれば時間を遅くしていけばいい。現場では、7分くらいの電力使用で充分やれるから早く再開してほしい、という声が挙がっています」