福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が森保Jの初戦に好感触。
堂安、中島、南野に「おおっ!」。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAFLO
posted2018/09/12 17:30
南野拓実や中島翔哉、そして堂安律が見せたプレーは、森保ジャパンの競争活性化を感じさせる。
南野が見せた献身的なサポート。
2トップの下がり目もしくはトップ下の位置に入った南野にも、成長を感じました。相手のファインセーブに阻まれましたけど、小林の胸トラップに反応して放った痛烈なシュートも素晴らしかった。これはロングボールに小林が走り込んだことで空いた正面のスペースにいち早く気づいたからこそです。
このプレーだけではなく、日本がコンビネーションで崩そうとしたとき、南野はほぼ毎回サポートの役割をしていました。前線で起点になったり、サイドに流れて中島や堂安と連動する、といった感じですね。
以前はボールを足元で受けてからの突破などで良さを発揮するタイプでしたが、ボールを持たない状況で周囲を生かせるようになったことで、アタッカーとしての幅を広げたんじゃないかなと思います。
そして南野はセレッソ時代から守備も献身的で、森保監督が求める攻撃から守備への切り替えもいち早く実践していた。総合力がこれだけ上がれば、代表定着も十分狙えます。
2列目に2チーム分以上の候補が。
そういえば彼らと同じアタッカーの乾がロシアW杯直後、「もちろん代表に選ばれれば喜んで参加しますが、若い選手が出てくる」と話していましたね。これまで中島や堂安、南野といった選手を目にする機会がなかった人たちにとっても、乾の言葉は納得できるものじゃないでしょうか。
今回未招集だったロシアW杯のメンバーを挙げると乾、香川、原口、宇佐美、本田。そしてリオ世代で言えば久保裕也がいる。そしてこの日アディショナルタイムにゴールを決めた伊東もアピールに成功した。
つまり2列目については、2チーム分以上のタレントがいるわけです。これだけ層が厚いと、所属クラブで結果を残さなければ代表入り自体が難しくなる。コスタリカ戦の終盤に出場した天野、出場しなかった伊藤辺りは、彼らを超えるインパクトを残す必要性があります。これだけの熾烈な争いは、今まででも考えられなかった。世代交代がテーマになる中で、実績のある選手と若手のポジション争いは日本にとって確実にプラスになるでしょう。