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代表選手を魅了するドリブル理論。
岡部将和がサッカーに革命を起こす。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2018/09/01 08:00
岡部将和氏は大学まではサッカーに打ち込み、その後フットサルを経てドリブルデザイナーとなった。
言語化することで分析が可能になる。
ロシアW杯のコロンビア戦では、乾が縦のドリブルで突破するシーンがあった。また、「右足でシュートするときは、右手を内旋させた方がひねりが大きくなる」というアドバイスも伝えていた。ロシアW杯において、乾はカットインから2ゴールを決めた。
「別に真新しいことをしたわけではないんですよ。乾選手が抜けているときって、相手がこうなっているときに抜けていますよねと伝えただけ。乾選手はすごく思考が柔軟で、すぐに『確かにそうですね』と言ってもらえた。
言語化できると、うまくいってないときになぜうまくいってないかもわかるようになる。少しでもアドバイスが生かされていたら嬉しいです」
岡部が気づいた原口の特別な武器。
昨夏には原口元気をサポートした。その際、右利きの選手が右サイドでどうドリブルすべきかをアドバイスしていた。
「一般的に右利きの選手は、右でのプレーに苦手意識を持っている。ただ、ピッチを見る角度を変えたら、右にいても、左のようにプレーできるんですよ。具体的に言えば、右から中へカットインするプレーを『左サイドにいたときの縦』、右サイドライン際の縦への仕掛けを『中へのカットイン』と捉えればいい。それを原口選手に伝えました」
原口はハリルジャパンでは主に左FWだったが、ロシアW杯では右FWになった。慣れない右サイドでプレーするうえで、岡部のアドバイスはきっと参考になっただろう。
また、岡部は原口が特別な武器を持っていることも伝えていた。
「原口選手はすごく上半身がやわらかくて、相手が手を出して止めようとしても、肩を後方に曲げてかわすことができる。相手の手の力を逃がせるんです。特に左側の肩が柔らかい。ベルギー戦のゴールシーンでは、原口選手がドリブルのスピードを緩めたとき、相手が止まったことで、普通にシュートを打てた。
でも、もし相手が反応して手を伸ばしてきたとしても、左肩を曲げてかわしていたと思います。本来安全じゃない距離を、安全圏に変えられるのが原口選手の強みです」