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東京五輪の酷暑マラソンは任せろ!
アジア金の井上大仁、驚くべき工夫。
posted2018/08/30 10:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
インドネシアで開催されているジャカルタ・アジア大会の陸上マラソンで、日本は男女合わせて金銀を獲得し、久々の好成績を収めた。
8月25日の男子マラソンでは25歳の井上大仁(MHPS)が2時間18分22秒で優勝し、1986年ソウル大会の中山竹通以来32年ぶりに金メダルに輝いた。
同26日の女子マラソンでは32歳と遅咲きの野上恵子(十八銀行)が2時間36分27秒で2位。1998年バンコク大会の高橋尚子以来となる優勝はならなかったが、日本女子としては2014年仁川大会に続いて銀メダルを確保した。
また、男子で日本勢2番手の園田隼(黒崎播磨)は2時間19分4秒で4位。女子の日本勢2番手となった田中華絵(資生堂)は、2時間42分35秒で9位に終わったが、日本チームの河野匡コーチは「男女で金と銀、園田君は4位。全体の結果には満足している」と手応えを口にしている。
赤道直下のジャカルタでのマラソンは、炎天下を避けるために早朝6時スタートで行なわれた。
スタート時の気温は26度、湿度80%、ゴール時は30度。
朝7時スタートで、ジャカルタ以上の酷暑が予想される東京五輪に向け、シミュレーションの第一歩でもあったレース。日本勢はどのような暑熱対策をしたのか。
お手製の「暑熱対策バッグ」!
給水ポイントで目を引いたのは、男子金メダルの井上だった。
「身体にかけたり飲んだりするための冷水ボトル」「糖質が含まれたスペシャルドリンク」「保冷剤」「直射日光を遮るための帽子」の4点セットをビニール袋にまとめて用意。走行中でもキャッチしやすいように持ち手をつけた、お手製の「暑熱対策バッグ」だ。
メッシュ状に加工されているユニホームにもさらに自前の工夫を施した。
通気性をさらに良くするために、汗が流れてユニホームが張り付きやすい背中にも穴を開けたり、裾を短くカットして腹部がわずかに露出するようにした。
特に目立っていたのは暑熱対策バッグに保冷剤を忍ばせたことだ。