炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープの“下位打線”は甘くない。
野間、會澤、西川が果たす役割。
posted2018/08/19 11:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
2018年シーズンも終盤に突入した8月15日、広島に優勝マジックが点灯した。開幕から投手陣が安定せず、チーム防御率は4点台。それでも最長連敗5にとどめ、勝ち星を積み重ねてきた。シーズン100試合を終え、頂点が見えるところまで来ている。
不安定な投手陣を突き上げて来たのは、強力打線だった。
チームの顔であり、連覇の立役者となったタナキクマル(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)、そして鈴木誠也は今年も健在。リーグ屈指の打線をけん引し続けている。ただ、3連覇に突き進む今季は、彼らにばかり頼らない厚みのある打線が特長であり、他球団の脅威となっている。
選手の調子やコンディションなどは個々にバイオリズムがある。長丁場のシーズン、そのバイオリズムの低下が重なりチーム力を落とす時期は訪れるものだが、広島の選手の波は小さく、戦力に厚みがあるからこそ個々で補い合いながら戦力を落とすことなく戦ってきたように感じる。主力の離脱も大きな戦力ダウンとはならなかった。
打線の各パートが補い合って。
広島のシーズンの歩みには、打線の並びと同じように波が来た。
シーズン序盤は上位打線。開幕直後に鈴木誠也や丸佳浩が離脱するなど、打順を固定できないでいた時期に、1、2番に固定されていたのが、タナキクコンビの田中、菊池であり、彼らがけん引役となったことで、経験のない選手たちは安心してついていけた。
シーズン中盤には中軸の鈴木や丸が復帰。重たい荷物を降ろした安堵感なのか田中、菊池の数字は下降していったものの、3番から丸、鈴木と固定できたクリーンアップが相手の脅威となり、大きな得点源となった。
頂点が見えてきたシーズン終盤は、下位打線だ。打順別打率を見ると、下位打線がひとつの得点源となっていることが明らかだ。広島は唯一3選手ともに打率2割7分を超える。
広島 6番.289 7番.274 8番.277
ヤクルト 6番.272 7番.257 8番.220
巨人 6番.275 7番.257 8番.220
阪神 6番.245 7番.268 8番.242
DeNA 6番.223 7番.228 9番.186
中日 6番.288 7番.269 8番.196
※DeNAの下位打線は9番の打率。今季主に8番投手、9番野手のため。