ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
DeNAの不振は“エース”の不在。
石田、今永、濵口トリオは甦るか。
posted2018/08/18 11:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
苦戦が続いている今季の横浜DeNAベイスターズ。シーズン開幕直前、ベイスターズのOBである齊藤明雄氏が、眉をひそめ語っていた言葉を思い出す。
「心配なことがひとつあるんですよ。果たしてどの選手が先発のピッチャー陣をまとめるのか?」
DeNAでは野手陣はキャプテンの筒香嘉智が、中継ぎ陣は選手会長の三上朋也が精神的支柱となり選手たちをまとめているが、確かに先発のピッチャー陣を引っ張っていくような選手はいなかった。
三浦大輔が引退してからというもの、リーダーシップを態度や言葉で発揮できる先発投手は出現していない。
年齢やキャリアを考えれば今年32歳になった井納翔一が当該選手に近いが、性格的にもそういうタイプではないし、そもそもラミレス監督から今シーズンは先発ではなく中継ぎスタートを言い渡されていた。あとは大卒4年目の石田健大、3年目の今永昇太、2年目の濵口遥大が候補となる。
先発をまとめる選手が絶対に必要。
齊藤氏は言う。
「その左腕の3人でもいいんだけど、まだ若いような気がしますね。先発の柱となる選手がドンと構えて、マウンドで姿勢を示さなければいけない。経験上、そういう人間が先発陣をまとめていかないと強いチームにはなれないんですよ」
つまり“エース”の存在。
「この人に任せておけば大丈夫だ」と、チームメイトから絶対的な信頼を得ることのできるピッチャー。齊藤氏が言うようにDeNAには“候補”はいれど、まだ“エース”と呼べる選手はいない。
ただ、石田は2年連続開幕投手を言い渡され意気に感じているだろうし、昨年2桁勝利を挙げた今永と濱口は故障により出遅れているが、戦列に戻れば結果を出してくれるだろう。
リーグ優勝も見えてきた今季、エース争いは“左腕トリオ”で争うことになるに違いない。きっと若い力を爆発させてくれるはずだ。さらには昨年10勝を挙げたウィーランドも控えている。大丈夫だろう――誰もがそう楽観的に考えていたに違いない。