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大木武と選手たちの幸福な関係。
京都サンガを旅立った男たちの再会。 

text by

渡辺功

渡辺功Isao Watanabe

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/08/02 08:00

大木武と選手たちの幸福な関係。京都サンガを旅立った男たちの再会。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

三平和司、工藤浩平、山瀬功治ら異能の選手が並んだ大木武監督時代の京都。古都で育った選手たちは今もなお戦い続けている。

「教え子なんて言い方は、好きじゃない」

 以前、指導者が選手に与える影響について、大木監督が言っていたことがある。

「教え子なんて言い方は、好きじゃないよね。ただ一緒にサッカーをやっていましたってだけの話で。その指導者の色一色に、選手が染まるなんてことはあり得ないよ。だって、ひとりの選手が持っている可能性やキャパシティって、そんな小さなものじゃないから。色でたとえるなら、選手という大きな真っ白いキャンバスに、ちょっとした点がひとつ描かれるくらい。その程度のものですよ」

 昨今スポーツ界のさまざまな競技で問題視されている、監督と選手の支配と従属とは、まったく違った関係性がうかがえる。

 結局、'13年シーズンもリーグ戦は3位、2年続けて昇格プレーオフで敗退してJ1復帰はならず。大木京都は3年で幕を降ろすことになるのだが、あのときの選手たちからは「毎日の練習に行くのが楽しかった」「あのチームでJ1に行きたかった」と、惜しむような、悔やむような声を聞くことがある。

 三平は'15年から再び大分でプレー。J1復帰を目指す熾烈な戦いを続けている。駒井善成、宮吉拓実(いずれもコンサドーレ札幌)、原川力(サガン鳥栖)といった当時の若手選手たちは、新天地へ活躍の場を求めていった。

 そして山瀬功治(福岡)、秋本倫孝(タイホンダFC)、工藤浩平(ジェフ千葉)、安藤淳(愛媛FC)、原一樹(カマタマーレ讃岐)、染谷悠太(京都)、横谷繁(大宮アルディージャ)、酒井隆介(町田ゼルビア)……と、ベテランと呼ばれるようになった多くの選手たちが、それぞれユニフォームの色は違えど、いまなお意気軒高にプレーを続けている。

「お前、フザけんなって(笑)」

 ゲームのほうは三平の先制ゴールを分水嶺に、前半セットプレーから追加点をあげた大分が2-0で逃げ切り、6試合ぶりの勝利。一方、敗れた岐阜は今季初の3連敗となった。じつは三平、5月に行われたホームでの岐阜戦ではシーズン初ゴールをマークしており、今シーズンの3得点中2得点が、大木岐阜相手に決めたもの。

「お前、フザけんなって言われますよ(笑)」

 25周年、全54クラブのJリーグ。12球団のプロ野球と較べると、選手の移籍や監督交代も頻繁だ。同級生、先輩後輩、同門、宿敵、因縁、雪辱……。その選手だけが特別に思い入れる、人知れぬ一戦だってあるのだろう。きっと今度の週末も、どこかのスタジアムで、誰かの再会のゲームが行われている。

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