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主力を抜かれても「ノープロブレム」。
岐阜と大木武“持たざる者”の流儀。

posted2018/03/15 11:15

 
主力を抜かれても「ノープロブレム」。岐阜と大木武“持たざる者”の流儀。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

FC岐阜の過去最高順位は、2009年のJ2で12位。大木体制2年目、スタイルが浸透してきた手応えはある。

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渡辺功

渡辺功Isao Watanabe

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 思えば半年ぶりの歓喜だった。

 最後に勝ったのは昨年9月16日のレノファ山口戦。その翌節から9試合勝利なく(3分6敗)シーズンを終えると、今シーズンも開幕から連敗スタート。

 続く3節もジェフ千葉の圧力に押し込まれ、先制点を許す苦しいゲームになった。それでも粘り強く、ピンチになれば身体を投げ出した。なんとか「2-2」の同点で90分を迎えたところで、途中出場の風間宏矢がスライス弾道の鮮やかなミドルシュート。これが決勝点となり、FC岐阜が待望久しい勝利をあげた。

「岐阜のイメージを一新するようなシーズンにしたい」

 大木武新監督が就任会見で述べた抱負のとおり、昨シーズンは攻守にわたって自らアクションを起こす能動的で積極的なサッカーを披露。1試合平均700本に迫りそうなパス数や、60%を超えるボール支配率も話題を集めた。

 最終順位は18位だったものの、前年比123%となる年間14万6518人の観客動員に成功。クラブのJリーグ加盟10周年の節目に、胎動とも呼ぶべき変化を感じさせるシーズンとなった。

失ったモノは数えない。

 だがこのオフ、庄司悦大(ベガルタ仙台へ)、シシーニョ、大本祐槻(いずれも徳島ヴォルティスへ)といった主力選手が相次ぎ移籍。チームの再構築を余儀なくされた。

 それでも大木監督は「非常に良いチームになった。自分の場合はどちらかと言えば、若い選手のほうが、というところがある。戦力面での不安はない」と、まるで意に介さない。

 これまでもそうだった。甲府の監督時代に、チーム得点王のバレーとキャプテンの倉貫一毅が移籍したときや、京都で攻撃の柱だった中村充孝、チョン・ウヨンが移籍したときも「ノープロブレム。何にも問題ない」と笑い飛ばしていた。

 失くしたモノを数えている暇があったら、今あるモノで正解を導き出す。そうやってファイティングポーズをとり続けるのが、大木の流儀だ。

【次ページ】 セオリーと違う戦術に戸惑う選手も。

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