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W杯早期敗退とドイツ国民の振る舞い。
一見サバサバでも本心はガッカリ?
posted2018/07/14 07:00

まさかのグループリーグ敗退を味わったドイツ国民。でもその後は意外と冷静なようで……。
text by

島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
一時帰国していた日本からドイツへ戻りました。自宅のあるフランクフルトに着いたのは、6月23日の夜8時。搭乗機が滑走路に降り立ち、ゆっくりと到着口に近づく中、僕はソワソワしていました。
何故ならば、まさにこの時間にロシアワールドカップ・グループFの第2戦、ドイツ対スウェーデン戦が開始されていたからです。
それほど混んでいない入国審査前の行列でもソワソワ。手荷物引き渡し場のベルトコンベアーがなかなか動かなくてソワソワ。ようやく到着口を出て、ドイツ鉄道『S-Bahn』の時刻表を見ると20分待ち!
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ここでスマートフォンを開いて途中経過を知るべきか、それとも最寄り駅まで我慢してオープンカフェで繰り広げられている「ミニパブリックビューイング」に参加するか……。大いに逡巡した末に、ハーフタイム中には最寄り駅に着けると判断して、あえて試合経過を把握するのは止めよう、と決断しました。そして……。
駅の階段を昇り切って地上に降り立つと、「あれ? 誰もいない?」。あまりの静けさに拍子抜けして薄闇の中(ドイツの夏は22時前後に暮れていくので夜でもまだ明るい)で目を凝らすと、オープンカフェにはたくさんの人たちが座っています。
韓国戦の前までは楽観ムードだった。
カフェにはワールドカップ中継中を意味する「WM!」の看板が立ち、大型スクリーンに試合が流れているじゃありませんか。それなのに、この静けさは……。画面を注視すると1-0の文字が。「1」の横には「Schweden」と記されています。
「スウェーデンが先制している!?」
そう、まるで図書館のような静けさは、前半を終えてドイツがビハインドを負っている状況を表わしていたのです。しかも大会を俯瞰すると、ドイツはグループリーグ第1戦のメキシコ戦を0-1で落としていたので、この試合で敗れれば早々にワールドカップからの撤退を余儀なくされる。まさにドイツ、大ピンチ!
結局、ドイツは48分にマルコ・ロイス、後半アディショナルタイムにトニ・クロースが決勝ゴールを叩き込んで逆転勝ちしましたが、少なくとも僕の周囲に浮かれた人たちはいませんでした。むしろ、「ヤバイかも……」という悲壮感がヒシヒシ伝わってきます。まさか前回ブラジル大会の王者であるドイツが、ここまでの低調ぶりを見せるとは、誰が想像できたでしょうか。
それでも、グループリーグ第3戦の韓国戦の前までは楽観ムードもあったのです。