ロシアW杯PRESSBACK NUMBER

W杯早期敗退とドイツ国民の振る舞い。
一見サバサバでも本心はガッカリ? 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2018/07/14 07:00

W杯早期敗退とドイツ国民の振る舞い。一見サバサバでも本心はガッカリ?<Number Web> photograph by Getty Images

まさかのグループリーグ敗退を味わったドイツ国民。でもその後は意外と冷静なようで……。

ビアホフが内情を明かしてしまう。

 一方で、これまたドイツらしいと思ったのは、今回の代表チームのスタッフのひとりでチームマネージャーの肩書を持つ元ドイツ代表FWのオリバー・ビアホフが新聞やテレビなど各媒体のインタビューを受けて大会中のチームの内情を赤裸々に明かしていました。

 例えば、大会前にイルカイ・ギュンドガンと共にイギリス・ロンドンでトルコのエルドアン大統領と面会したメスト・エジルに対しては、「メストは、自分からきちんと釈明するということができないようだ。今回彼をメンバーに入れるかどうか、しっかりと考えるべきだったのだろう」と語った。

 さらに、「選手たちはそれぞれ自分のことばかり考えていたんだと思う。私たちチームマネジメントのスタッフたちは、それを変えることはできなかった」とも言っていました。なんだか自己弁護のようにも思えるのですが、自らの立場と責任をはっきりさせる態度は、こちらの文化、風土の中では普通のことなのでしょう。

 一見冷静沈着なドイツのサッカーファン、サポーターはしかし、心の中で大いに落胆し、今回のドイツ代表の体たらくに憤り、悲しんでいます。でも、その感情を表には見せない。本心を包み隠しながら、それでも彼らは内面で感情を揺り動かしているのだと思います。

盛り上がる他国の人々を横目に……。

 ドイツが敗退した後もワールドカップは続いています。

 フランクフルトの街中でも、レストランやバーの玄関先に「WM!」という文字を掲げてライブ放送を流しています。先日は、ロシアvs.クロアチアを流しているカフェで背中にロシア国旗をまとった集団が声援を上げ、クロアチア代表の格子模様のレプリカユニホームを着た方々がそれに応戦して、微笑ましく盛り上がっていました。

 ドイツでは外国籍の方々も慎ましく羽目を外さず、治安の悪さを感じさせません。ただ周囲をよく観察すると、そうして盛り上がっている他国の人々を横目に見て、ドイツ人は肩をすぼめて歩いているような気もします。

 日本vs.ベルギー戦は友だちとオープンカフェで観戦しましたが、一喜一憂する僕らを尻目に、隣の女性が一言も発さず大きなハンバーガーを平らげていました。大手スーパーのドイツ代表グッズが置いてあるコーナーは閑散としています。ドイツ国旗をあしらった装飾物が崩れ落ちそうで、何かのプレゼントが当たる応募用紙が散乱しています。

【次ページ】 「日本残念ねぇ。ドイツを応援しなさい」

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
メスト・エジル
マヌエル・ノイアー
ロシアW杯
ワールドカップ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ