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「本命フランスは間違いない」
決勝&準決勝をトルシエが分析。
posted2018/07/13 17:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
ベルギー対フランス。事実上の決勝と言われた大一番を制したのは、不利と見られたフランスだった。
どうしてフランスは、チーム力で上回るベルギーに勝てたのか。そして決勝への展望は?
試合終了直後にフィリップ・トルシエが語った。母国の決勝進出の喜びと、客観的な観点からの試合分析の両方が、彼の言葉からヴィヴィッドに伝わって来る。
「技術ではベルギーがフランスよりもずっと上」
――またもやセットプレーから得点(CKからのウムティティのゴールが決勝点となった)が決まりました。
「その通りで、この大会がセットプレーのワールドカップであるのは間違いない(笑)。得点はいずれもCKやFKから決まる」
――勝ったのはフランスでした。
「フランスは堅実な試合運びだった。力強さを示したようにも感じた。
今日のフランスは強固なうえにディシプリンにも溢れていた。グループの中に素晴らしい雰囲気が生まれている。ただこのチームはまだ何も得たわけではない。だからこそ決勝は決して緊張を緩めてはならない。
チームへの信頼が揺るぎないのはもちろん勝利を得たからだ。しかし素晴らしいサッカーを実践したわけではなく、全員が良く守った。グリーズマンやジルー、マテュイディ、ムバッペも……攻撃の選手たちも献身的に働き、目を見張らんばかりの連帯感を示した試合だった。犠牲の精神に溢れていた」
――ベルギーの攻撃力は脅威だったのではありませんか?
「フランスは相手を落胆させた。それは、彼らが直面したのが技術的に優位に立った優れたチームだったからだ。技術ではベルギーがフランスよりもずっと上だった。
落胆させたのは、フランスの守備が良かったからだとも言える。そのうえ効果的なカウンターアタックを仕掛けてベルギーに恐怖を与えた。まるで喉元に小さなナイフを突きつけているようで、ベルギーは最後まで警戒を緩めることができず、最後はチームが闘争心を失っていた」