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W杯早期敗退とドイツ国民の振る舞い。
一見サバサバでも本心はガッカリ? 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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posted2018/07/14 07:00

W杯早期敗退とドイツ国民の振る舞い。一見サバサバでも本心はガッカリ?<Number Web> photograph by Getty Images

まさかのグループリーグ敗退を味わったドイツ国民。でもその後は意外と冷静なようで……。

チーム構築の不備に内なる不満が。

 日本人の僕から見ても拍子抜けするような雰囲気は、しかし、ドイツ国民が抱く内なる不満をあえて覆い隠していたのかもしれません。

 ドイツのサッカーファンのロシアワールドカップ・ドイツ代表への評価は、総じて主力選手たちの低調ぶりと、そんな選手たちを優遇してきたレーブ監督のチーム構築の不備に集約されていました。

 負傷が癒えたばかりのGKノイアーの起用、CL準決勝でレアル・マドリーに敗れてからモチベーションの低下を指摘されていたバイエルン・ミュンヘンのCBコンビ、マッツ・フンメルス&ジェローム・ボアテンクを中心とした守備陣。サミ・ケディラ、クロース、メスト・エジルの中盤はファンタジーに欠けるうえに守備に不安を抱え、ブンデスリーガ得点王のロベルト・レバンドフスキ(ポーランド代表)に16点差を付けられて同6位に甘んじたティモ・ベルナーを1トップで起用せざるを得ないエース不在の状況は、すでに大会での苦戦を示唆していたのかもしれません。

正真正銘のキャプテンがいなかった。

 また、ドイツの方々は現代表に絶対的なリーダーがいなかったことを嘆いていました。かつてのドイツ代表にはフランツ・ベッケンバウアー、カール・ハインツ・ルンメニゲ、ローター・マテウス、オリバー・カーンなど、チームを束ねる正真正銘のキャプテンが存在していました。

 前回のブラジルで優勝を果たした『ディー・マンシャフト(Die Mannschaft)』(ドイツ代表の愛称)にもフィリップ・ラームという頼れるキャプテンがいて、ラームを支える存在としてバスティアン・シュバインシュタイガーやミロスラフ・クローゼらが脇を固めていました。

 GKノイアーにも素養はあったはずですが、いかんせん彼は病み上がりの身で、チームメイトに対して厳しく接することができなかったという論評もあります。

【次ページ】 ビアホフが内情を明かしてしまう。

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