マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
西武・山川穂高のホームランと愛嬌。
「僕の場合、それだけでスタンド」
posted2018/06/28 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
プロ4年目の昨シーズン、一軍の78試合で23本塁打を放ってみせた西武・山川穂高内野手。今季はシーズン当初から4番に定着し、すでに66試合で18本のアーチをかけて(6月24日現在)、パ・リーグホームランダービーのトップを走っている。
あまり話題にならないが、山川穂高は現在「打点王」でもあり、タイムリーの打てる4番打者としての仕事も全うしているのだから、まったく頭が下がる。
実はうっかり、もう2、3年も彼が今年のような働きぶりをしている……と、私は錯覚していた。
それほどに、「西武・山川穂高」の存在感は大きい。
2017年こそ、ほぼフルシーズン一軍で働いていたが、2014年のルーキーイヤーから2年間はイースタンのホームランメーカーであり、3年目の2016年にイースタンで22弾、一軍で14弾。
3年目のこのあたりから頭角を現わし始めた山川穂高なのに、印象としては、この頃にはとっくに一軍のクリーンアップを打っていた……そこまでの強烈な印象を残しているのは、やはり彼のコンスタントな「ホームラン生産力」のせいに違いないと考えている。
「僕のバッティング、まだわかってないっす」
思い出したことがある。
西武ライオンズ、2月の南郷キャンプ。
球場一塁側の内野スタンドと外野スタンドの間で、選手たちが練習の合間に記者も交えて話していた。「今日の野球」について、それぞれが思い思いに語り合う。
売り物のフルスイングをなかなか見せてくれないことを、ある記者に突かれた山川穂高が、こんなことを話していたことがある。
「〇〇さん、僕のバッティング、まだわかってないっす。僕の場合、真っすぐ相手ならタイミング合わせてインパクトでパカーンと打つだけなんです。それだけで、スタンドに持ってけますから」
確かにその日の山川は、インパクトの直後にスイングを止めるようなコンパクトな振り方で、それでもタイミングさえ合えば、バックスクリーンから左中間、右中間へ軽々とアーチをかけていた。