マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
西武・山川穂高のホームランと愛嬌。
「僕の場合、それだけでスタンド」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2018/06/28 07:00
山川穂高は、なんともいい顔でベンチに帰ってくる。バットだけではない貢献度も高いのだ。
秋山「僕が打っても盛り上がらないのに」
「僕が打ってもたいして盛り上がらないのに、アグー(山川の愛称)が打つと、ほんと、ベンチが明るくなりますから」
チームリーダー・秋山翔吾もうらやましがるほどの“求心力”が首位・西武ライオンズを牽引しているのか。
そういえば、こういう選手、どこかにいたな……。
前に立たれると向こうが見えなくなるほどの100キロ超のデカイ体に、笑いながらスタンドに放り込んでいるように見える圧倒的な長打力。
打球の方向もセンター、バックスクリーンから左中間、右中間で、なによりいつの間にか人の輪の真ん中でみんなに活力を与えている明るい人間力。
社会人野球パナソニック・片山勢三。
九州共立大学時代から猛威を奮った超・長打力を、今春入社したパナソニックでもそのまま発揮。
3月のスポニチ大会から4番に座って、神宮のレフト中段と右中間最深部に1試合2ホーマー。
アマチュア球界に数少ない右打ちの長距離砲として、来年のドラフトめがけてそのセンター方向への長打力と大舞台に抜群の強さを発揮する“実戦力”に、さらに磨きをかける。
おかわりくん・中村剛也に続いて山川穂高が登場すれば、山川穂高を追って、片山勢三が腕を撫す。
100キロ超の体で、送りバントで二塁に突進する片山勢三の走り。見たら、えっ! と驚くはずだ。アグー・山川だって、50メートルを6秒そこそこで駆け抜ける。
出でよ、動けるデブ。
実は、今、大学野球監督の多くが待ち望んでいる選手が「山川穂高タイプ」なのである。