サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
コロンビア戦前後で心境に変化は?
選手たちの発言に見るブレない軸。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/06/22 17:00
日本代表、そして全国が歓喜した大迫勇也のゴール。勝利の過程には選手たちのコミュニケーションがあった。
「チーム全体としての力が大きかった」
5月下旬から始まった約1カ月間、ディスカッションを繰り返すことで、個人が持つ経験を日本代表というグループに落とし込み、共有してきた。そんな作業の鍵を握ったのはもちろん西野監督だ。
川島永嗣が語る。
「一番大変なのは監督だと思う。この短い時間の中でいろんなことを決断しなくちゃいけない。今の自分たちにとり、なにがベストなのかというのを判断しなければいけないと思います。
そのなかで、監督を含めて新しいスタッフの間で何が最善なのかっていうことを、いろいろ模索しながら戦ったのがコロンビア戦だった。選手だけでなく監督やスタッフも含め、チーム全体としての力が大きかったと思います」
約半数の選手たちが、前回のブラジル大会メンバー。そのなかには3度目のW杯という選手もいる。突然の監督交代でそんなベテラン選手たちがチームの軸となり、それを批判する声も少なくなかった。
積み重ねがご破算になったわけではない。
確かに日本代表がブラジル大会後新たにスタートし、アジア予選で積み重ねたモノがご破算になるのではないか、という問題提起は間違ってはいない。
しかし、ブラジル大会からの4年間は失われたわけではなかった。選手個々がそれぞれの現実と戦いながら培った経験は、確固としてそこに存在していた。そこには前監督によってもたらされたものも当然ある。それを含めて、日本代表の現在地なのだ。
コロンビアに勝てたことは、大きな力を西野ジャパンにもたらした。とはいえ、ひとり多い状況での勝利という事実から目をそらす選手はいない。そして、まだまだ課題も多い。何より、取材に応じた選手たちは冷静だ。楽観論に乗るのは危険だと誰もが考えているからだろう。
大きな危機感とともにスタートした。
その危機感がコロンビアに勝っただけで消えるわけではないのだろう。
目指すのは初戦勝利ではなく、グループリーグ突破だ。その目標を達成するまで、西野ジャパンのリベンジは続くかもしれない。