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コロンビア戦前後で心境に変化は?
選手たちの発言に見るブレない軸。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/06/22 17:00
日本代表、そして全国が歓喜した大迫勇也のゴール。勝利の過程には選手たちのコミュニケーションがあった。
長谷部、香川も経験を生かそうと。
「僕個人としても3大会目だし、試合に入る前も、正直こんなに落ち着いていて良いのかというくらい、落ち着きを感じていた。それは過去2大会の個人的な経験というか、悔いというか、そういう部分から来ていると思う」(長谷部誠)
「W杯は4年に一度。初戦の前から、このシチュエーションを過去のどんな試合にたとえられるかというのを考えていた。でも、この初戦というのはちょっと違う雰囲気。それを自分は自信に変えて、やるしかなかった。いろんな感情が出てきて、それを抑えるのは大変でした。
この1試合に集中すること、ピッチでいつも通り、やり続けることだけを自分に言い聞かせた。そういう部分でのコントロールはすごくやはり大変でしたね」(香川真司)
様々な想いを抱き、その舞台に立った。
ハーフタイムに白熱した議論。
そして、開始早々に退場者が出て、PKで先制する。このチャンスをどう勝ち点に結びつけるのか? 選手たちの脳裏には、あらゆる負のシチュエーションがよぎっただろう。コロンビアにとっての想定外のアクシデントは、日本にとっても想定外だった。
「いきなりコロンビアが10人になって、自分たちがボールを持つ時間が長くなったのは、考えていたのとは、むしろ真逆の状態だった。でもその時に引き分けを含めて勝ち点を得る、そして勝つというところから逃げなかった。イケイケで攻めるサッカーじゃなくて、ある程度冷静に戦えたところは、やっぱり過去の経験があったからだと思う」
ベンチで戦況を見ていた岡崎はこう分析する。
直接FKから失点して1-1となってしまうが、慌てることはなかった。このスコアのままで終わったとしても、勝ち点1は手にできる。追加点を狙うのか、それともこのまま引き分けを狙うのか?
ハーフタイムのディスカッションは白熱した。
「現実的にグループリーグ突破を考えた結果、1-1でも大きな勝ち点になります。だから75分以降に、もう1回話し合おうという形で、後半に入った。ディフェンスラインを高くし、押し込める時間帯もあり、追加点が決まったのが73分。本当に理想的な流れになった」と話したのは酒井宏樹だった。