ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
オシムが喜んだのは勝利だけでない。
「香川は円熟の境地。酒井は力強い」
posted2018/06/22 08:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
前日にアシマ夫人との電話で、日本対コロンビア戦後にイビチャ・オシムに試合の論評を聞くことを確認した。ところが試合後の記者会見を終えて電話をすると誰も出ない。アシマ夫人の携帯にも繋がらない。ようやく夫人と話ができて、状況を尋ねるとオシムは試合を見終えて寝ているという。9時にキックオフのロシア対エジプト戦に備えて仮眠を取っていたのだった……。
試合の直前に再び電話をした。すでに起きていたオシムは、ロシア対エジプト戦を前に日本対コロンビア戦を語った。日本の勝利に彼は、いったいどんな思いを抱いたのか……。
1人ひとりが自分のなすべき仕事をした。
――元気ですか?
「君も元気そうでなによりだ」
――はい。試合は見ましたか?
「結果は妥当で、日本は勝利に値する試合をした。とても素晴らしい勝利だった。しかも決して侮ることの出来ない相手に対する勝利だ。
たしかに判定に助けられた部分はあった。1人選手が多いのは大きなアドバンテージだ。しかし、選手1人ひとりが自分たちのなすべき仕事をしたのは間違いない。彼らは自分たちのやるべきプレーを実践し、ボールをキープし、相手よりも多く走った。ある瞬間から彼らはこのようなプレーをするようになった……そして、それは長い間日本がやり続けてきたプレースタイルだった」
――良くも悪くも日本らしいパスサッカーだったと思います。
「自分に自信がなければミスを犯しやすい。(コロンビアが)ああいう形で失点したのは気の毒としか言いようがないが、サッカーとはそういうものだ。
とはいえ日本は本当に良くプレーしていたので、私は本当に嬉しく思う」