福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史も思わず「いいね」と感心。
柴崎岳、変幻自在のパス&ドリブル。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/06/20 17:30
中盤でボールを持つ、という意志を象徴していた柴崎岳の起用。そしてそれに応えてゲームをコントロールして見せた。
次の相手セネガルは想像以上に……。
日本戦後に行われたセネガル対ポーランドも映像で見ましたが、次の対戦相手であるセネガルは思った以上に組織的だなと感じました。ダブルボランチを務めるイドリサ・ゲイとアルフレド・ヌディアイェはしっかりと中盤を締めていましたし、4バックの最終ラインも、サイドにボールが渡った時のスライドが意識として浸透しています。アフリカ勢らしい身体能力でカバーすることはありましたが、チーム全体としてでき上がっている。決して得点源のマネだけ抑えれば、と考えてはいけない相手です。
コロンビア戦に比べると長いボールを蹴らざるを得ない場面も増えるでしょうが、中盤でボールを持てた時に相手の意図を外せるか。そこは日本にとっての大きなポイントとなるはずです。
コロンビアサポーターの温かさ。
最後にピッチでのプレーとは別なんですが、現地で見た人間としてスタジアムの雰囲気についてもぜひお伝えしたいです。テレビ観戦した方も気づいたかと思いますが、コロンビアのサポーターが数多く駆けつけて、観客の7割ほどを占めていたと思います。サランスクの街を歩いていても「あれ、ここコロンビアの都市だっけ?」と思うくらいでしたから(笑)。
そんな彼らですが、応援の姿勢に南米らしいサッカー文化を感じました。試合後にはコロンビア人サポーターの方が次々に「ナイスゲーム!」、「おめでとう!」と日本人サポーターに声をかけて、写真撮影をしていました。
何よりもグッドルーザーというか、“深くサッカーを楽しんでいる”人が多いと強く感じました。もちろんコロンビアの勝利を願うのは大前提で、熱くなってしまう人もいますが、“素晴らしい内容と結果を残した相手は評価すべき”と考える人がほとんどです。そういう文化があるからこそ、サッカー人が育つし、サッカー強豪国であり続けられるのかなと思いました。
コロンビア戦での1勝で、メディアも日本全体も一気にポジティブな雰囲気に変わっていると思います。もちろん勝利を喜ぶことは素晴らしいことです。それに加えてコロンビアサポーターのように試合を深く楽しんで、好ゲームを展開した相手を称えられれば最高ですよね。
セネガル戦も日本を応援しながら、サッカーの面白さを深く味わってほしいです!
(構成:茂野聡士)