福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史も思わず「いいね」と感心。
柴崎岳、変幻自在のパス&ドリブル。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/06/20 17:30
中盤でボールを持つ、という意志を象徴していた柴崎岳の起用。そしてそれに応えてゲームをコントロールして見せた。
パスの前に見せる挟むドリブルの効果。
柴崎が冴えていたのは、相手の交代策にもすぐ対応できた面にもあります。コロンビアのぺケルマン監督は、前半途中に左サイドのクアドラドを下げて、ボランチのバリオスを入れて、中盤センターを厚くしてきました。
香川や大迫へのパスコースを規制する狙いがあったと思いますが、そこで柴崎は慌てなかった。自分がボールを受けたりパスを散らすべきスペースをしっかりと探して、リズムを変化させることを常に意識していたんです。これはコロンビアとしては、相当嫌だったんじゃないかなと思います。
具体的なプレーで説明しましょう。柴崎はフリーになってボールを受けると、ドリブルで持ち上がる姿が目につきました。
目立たないプレーに映るかもしれませんが、こうやって人とボールが動くと新たなパスコース、角度をつけられる。そして時にはワンタッチで味方にボールを預けて、またボールを受けることを繰り返す。
そして狙えるチャンスがあれば、効果的な縦パスをスパっと入れましたよね。ボールを保持している時間帯が長くなったことで、柴崎の良さがどんどん出ました。
コロンビアが10人だった恩恵を最大に受けた。
単純なパスミスやボールロストもほとんどなかった。柴崎のプレーが安定しているし、退場者を出しているからボールを奪いたくても間合いを詰められないし、奪いに行っても奪えないという状況が続きましたからね。
守備面に関しても山口や長谷部のようなタイプとは違いますが、頑張っていました。大会前からボランチについては、攻撃に関与できる大島か柴崎を活かせるかどうかがカギ、と考えていましたが、攻守ともに結果を残せたのは柴崎にとって大きな自信になるはずです。
ただし、柴崎がこれだけ存在感を見せられたのは、コロンビアがほぼ90分を10人で戦ったからというのは忘れてはいけない。1人少ないから前線からのプレッシャーがかからず、日本としてはボランチの1枚が常に余るような形になった。スペースが広い分だけまず柴崎にボールを預けて揺さぶりをかけられたし、他の選手も余裕を持ってプレーしていました。