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ヒディンク采配が西野監督の憧れ。
ロマンに酔わず「強い選択」を。

posted2018/06/18 11:00

 
ヒディンク采配が西野監督の憧れ。ロマンに酔わず「強い選択」を。<Number Web> photograph by Getty Images

「想定外の展開でも、選手交代をひらめくことはある」という西野監督の試合勘も試されることになる。

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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 世界を驚かせたあの采配を、日本代表の西野朗監督はロシアW杯で再現しようとしている。

「ああいう大舞台でああいう采配ができるのは、指導者として憧れますよ」

 西野監督が真っ直ぐな憧憬を抱くのは、2002年日韓W杯で韓国を率いたフース・ヒディンクである。決勝トーナメントでイタリア、スペインを撃破したオランダ人指揮官の采配に、強烈な印象を受けたと言うのだ。

 イタリアとの決勝トーナメント1回戦は、前半に失点した韓国が追いかける展開だった。0-1で迎えた後半、ヒディンクは63分、68分、83分と交代のカードを切っていく。3枚目で交代させたのはキャプテンでリベロの洪明甫(ホン・ミョンボ)だった。

 そのたびに、システムもめまぐるしく変わっていく。韓国は88分に1-1の同点へと持ち込み、延長後半終了間際のゴールデン・ゴールで大金星をあげたのだった。

瞬時に勝つための判断を下していた。

 スペインとの準々決勝でも、敵将ホセ・アントニオ・カマーチョの交代にリアクションする形の采配ではなく、つねに先手を取ってゲームを動かしていった。

 一般的にこの2試合は、相手のゴールを取り消した誤審なしには語れない試合ではある。だが、ヒディンクの采配が勝敗に強い影響を及ぼしたのは間違いない。

「何分後にこういう選手交代をしようというプランどおりではなく、瞬時に勝つための選手交代を考えたり、システムを変えたりしていた。

 イタリア戦は最終的にキャプテンのミョンボを下げて、2バックのような形で攻め切った。イメージとしては持てるかもしれないけれど、現実のなかで瞬間、瞬間にそうやって選手交代をしていったヒディンクの采配には憧れますよ。

 それで試合が好転していく。イメージが現実化していった。ホントに『これだな』という思いで、ヒディンクの采配を見ていました」

【次ページ】 選手たちが自然と“ゾーン”に入った。

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