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トルシエがガーナ戦を厳しく評価。
「試合に勝ったのはヴァイッドだ」 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byAsami Enomoto

posted2018/06/07 07:00

トルシエがガーナ戦を厳しく評価。「試合に勝ったのはヴァイッドだ」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ガーナ戦後の壮行イベントでも口調が重かった西野朗監督。チーム状況を好転させることはできるか。

本田、香川は期待された役割を……。

――日本はまったく新しいチームで、ヴァイッドのチームとは全然違っていました。

「それは当然のことで、西野監督は自分自身の方法論を誇示したかった。しかし結果が得られず、選手たちも力を存分に発揮できなかった。強さも個性も見せることができなかった。ナイーブですらあった。日本の弱点ばかりが目立つ試合だった。

 ただし私は、日本はもっとずっといいプレーができると思っている。欠いているのはリーダーだ。本田は期待された役割を果たせなかった。香川もそうだ。役割を果たしたといえるのは長谷部だけだった。彼はキャプテンとしての役割をまっとうしていた。だが、他の中心選手たちはみなすべて軽すぎた。だからチームはパーソナリティーを欠いた。

 誰もがコレクティブな要求の中に埋もれてしまった。しっかり守って、走ってパスを出す。しかし誰も責任を負おうとはしなかった。ただのひとりもだ。コレクティブの大義の裏に、全員が隠れてしまった。パスだけ出していればいい。決断する必要はない。単純なことだけやっていればいいというのが今日の日本だったが、それでは不十分だ。もっとアグレッシブなプレーが求められる。

 選手たちは協会の決断の後ろに隠れてしまった。彼らはプレーはしたが、それは決して責任を自分で引き受けるプレーではなかった。

 もうヴァイッドのことは忘れるべきだ。彼のことはキッパリと決別して、再出発すべきだ。新しい監督のもとで、その監督の考え方を尊重しながら。選手も新しい監督と責任を分かち合わねばならない。問題の後ろに隠れて、責任を回避すべきではない」

スイス戦、パラグアイ戦も難しい。

――試合後の会見で西野監督は、残る2つのテストマッチもすべては本大会初戦のコロンビア戦に照準を合わせてのことだと言いました。

「その通りで結果は重要ではない。日本はテストマッチの結果からプレッシャーを受けるべきではない。スイス戦もパラグアイ戦も、難しい試合になるのは間違いないからだ。結果が第一の関心事ではない。もちろん試合に臨む限り勝利を目ざして戦うが、目的はあくまで自信の回復であり、コロンビア戦の準備を万全にすることだ。

 とりわけ個人レベルでの準備が重要だ。というのも私が思うに、選手がプラスアルファを発揮できるのは、個人レベルであるからだ。コレクティブはたしかに重要だが、そこでのプラスアルファはあまり期待できない。選手が個をより前面に出すことで、日本のプラスアルファが生まれる。ガーナ戦はその点であまりにナイーブで軽かった。選手たちがそのことをまだよく理解していない」

【次ページ】 人々の関心は協会がミスを犯したかどうか。

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