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Bリーグファイナルで圧巻の25点差。
王者アルバルクはいまだ進化途中。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/05/28 17:50
アルバルク東京をBリーグ王者に導いた田中大貴。MVPにふさわしい自在のプレーぶりだった。
周到なプランニングでの強化が実る。
1つ目が、周到なプランニングのもとでの強化だ。
今シーズンからチームを率いるヘッドコーチ(HC)のルカ・パヴィチェヴィッチ氏は、ディフェンスのコンセプトについて、このように語っていた。
「1対1でハードにディフェンスをすることです。日本のバスケはオーバー・ヘルプをする傾向があります。プロでオーバー・ヘルプを作ってしまえば、やられてしまう。そこでヘルプしないで、1対1で守るという形ですよね。そこでもやられてしまうときには、ヘルプにいく。要は、その見極めです。
どこまでヘルプするか、しないか。そしてヘルプしたときは、その後のリカバ-をどうするか。これは重要で日本人選手たちにはよく言っています。それをこなしたら、ディフェンスは素晴らしいものになります」
そうしたコンセプトをシーズン当初からの猛練習で植えつけつつ、シーズン終盤の3月からはチャンピオンシップ(CS)にむけた対策をきっちりと行なっていた。
今季唯一の同一カード連敗にも動揺せず。
キャプテンの正中岳城は、当時をこのように振り返っている。
「ディフェンスでは1ON1や、2ON2をメインでやっていました。ただ、CSで勝ち上がるためには、カバーディフェンスなどの部分も必要になってきます。ただ、それは小手先の戦術ではなく、まずは1対1のディフェンスを作り上げてから。そして、さらに上を目指すということで、3月から取り組んでいたんです」
1対1を基本としたディフェンスだけではなく、相手を罠に押し込んで奪いにいくトラップディフェンスなども取り入れていった。その変更が生みの苦しみとなったのか、3月の新潟アルビレックスBB戦では、今シーズン唯一となる同一カード2連敗を喫している。
ただ、その時もチームには動揺がなかったという。連敗直後、レギュラーシーズン60試合中54試合に先発したチーム最年長・菊地祥平もこのように語っていた。
「アルバルクのディフェンスがどういうものか、全てのチームが認識していると思いますし、打破しようとしてくると思います。シーズン後半戦とCSを考えると、そのディフェンスだけでは通用しない相手が必ず出てくるので」