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Bリーグファイナルで圧巻の25点差。
王者アルバルクはいまだ進化途中。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/05/28 17:50
アルバルク東京をBリーグ王者に導いた田中大貴。MVPにふさわしい自在のプレーぶりだった。
「我々はまだリミットに達していない」
1年目にして、アルバルクの成長はリミットを迎えたのだろうか。そのことを試合後の記者会見で問うと、彼は胸をはってこう答えた。
「我々のチームはまだ、リミットには達していません。まだまだ、プロセスの段階です、。選手全員が懸命な努力の中で今シーズン戦い、これをもとにまだまだ伸びしろがあると感じています。今シーズン我々がずっと言ってきたことは、『今、全力でできることをやっていく』ということです。これをもとに来シーズン、その次のシーズンに向かって1つひとつを積み重ね、ステップアップしていける、という自信はあります」
プロリーグのシーズン1年目は、長年ためてきたものが爆発するからこそ、輝いて見える。しかし2年目のシーズンというのは、新たに何かを生み出せるかどうかが問われる。
それはスポーツに限らず、音楽の世界でもそうだ。ファーストアルバムはバンドが下積み期間をかけて作ってきたものが詰まっているから、濃いものになる。それを出し切ったあとに、ほかの何かを生み出せるかどうか。それこそ、バンドが長く輝いていけるかどうかの分かれ道となる。
まだ進化の途中にあるとHCが自信をにじませるアルバルクは、来シーズンもさらに前に進むはずだ。そして、そこを倒そうと他のチームがしのぎを削っていくことで、バスケットボール界はさらに進化していく。
1年目と比較すると印象が薄くなりがちな2年目のシーズンで、もっとも成長したチームが頂点に輝けることをアルバルクが提示した意味は大きい。
Bリーグ3年目は、きっと「成長」がキーワードになる。