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開催国枠で五輪初出場の水球女子。
注目度アップへ千載一遇のチャンス!

posted2018/05/20 11:00

 
開催国枠で五輪初出場の水球女子。注目度アップへ千載一遇のチャンス!<Number Web> photograph by AFLO

日本でなかなか目にする機会はない水球だが、運動量とダイナミズムは球技でも随一のものだ。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 国際水泳連盟はこのたび、2020年東京五輪において、アーティスティックスイミング(旧シンクロナイズドスイミング)のチームとデュエット、水球、飛込み、オープンウオーターに開催国枠を与えると発表した。

 開催国枠は、大会を開催する国に対して与えられる、予選を経ずに五輪に出場できる権利だ。つまり日本代表はこれらの種目において、無条件で東京五輪の舞台に立てることになったのだ。

 中でも目をひくのが、水球女子だ。オリンピックの団体球技では唯一、日本が過去に出場したことのない種目である。この決定は水球女子にとって、大きなチャンスとなる。

 水球は1チーム7名制で、プールの端に設置された対戦相手のゴールにボールを入れると得点になる競技だ。

 水深のあるプールで常に立ち泳ぎをしながら俊敏に動き、シュートやパスの能力も問われる一方、相手との激しいぶつかり合いもある。それゆえ、「水中の格闘技」や「水中のハンドボール」と呼ばれることもある。

男子はリオ五輪で32年ぶり出場も。

 水球において、日本はずっと苦戦を強いられてきた。競技の特性上、体格や体力で上回る欧州勢やアメリカなどが有利だったからだ。

 そうした面にとどまらず、「大学を卒業したら引退」という言葉が選手の間で口にされる厳しい競技環境、競技人口の少なさなども強化が進まない要因だった。男子は2016年のリオ五輪に32年ぶりの出場を果たしたものの、女子の場合、男子以上に少ない競技人口もあって、これまでオリンピックに届かずにきた。

 もちろん、体格面や環境面にハンデがあるからといって、手をこまねいていたわけではない。

 前回のリオ五輪の出場権獲得に向けては、1日7時間にも及ぶ水中、陸上での猛練習をはじめ、競泳選手に泳ぎ方を教わったり、シンクロナイズドスイミングの選手に水中での姿勢を学んだりするなど、様々な面で鍛錬を積み重ねて臨んだ。

 しかしアジア選手権で中国に敗れ、続く世界最終予選も突破できず、五輪切符を手に入れられなかった。

【次ページ】 五輪での成績=注目度、という図式。

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