話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
都倉賢がミシャサッカーに適応中。
「3位の自信と誇りを胸にピッチへ」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/05/16 16:30
空中戦のイメージが強かった都倉賢だが、ミシャサッカーに見事にフィットしている。
リーグ戦初勝利で大きな変化が。
この試合、カウンターが鋭い東京を警戒して、ペトロヴィッチ監督は「ボールを失った後、時間とスペースを与えないように攻守の切り替えを早く、球際を厳しくいく」ことを選手に徹底させたという。試合では、そうしたタスクを選手がさぼらずに実行し、Jリーグでも屈指の2トップを完封した。
「共通意識を持ったところは、しっかりみんなでやれている。戦術的にうまくいかない時も焦らず、みんな同じ意識で戦えている。それが今のチームの強さだと思いますね」
都倉は、笑みを浮かべてそう言った。
しかし、今シーズンの最初からそういう試合ができていたわけではない。開幕戦は広島に敗れ、2戦目セレッソ大阪戦はドロー、3節の清水戦は1-3で敗れて、3試合目まで勝てなかった。チームに劇的な変化が生じたのは、いつからだったのか。
「チームがガラリと変わったのは、4節の長崎戦で初めて勝って成功体験を共有できた時です。キャンプからミシャのやり方にトライし、それからもだいぶ変わったんですけど、公式戦で結果が出なくて多少、みんな不安に思っていたと思うんです。
でも、長崎戦でロスタイムにチャナが劇的なゴールを決めてくれて勝てた。その時、試合で結果から得られる自信と、練習で積み重ねられてきた自信の両輪がカチッとハマったし、みんなとチームのベクトルが合った。そこから成長曲線が伸びていきましたね」
勝つごとにチームは、自信を膨らませた。上位対決で勝ち点を失わずにしっかりと1点を取れたことは秋のシーズンに必ず生きてくるし、そういう戦いができるところに札幌のチームとしての“強さ”が見て取れる。
「アップから悠々と胸を張っていこう」
都倉は、最近チームメイトの振る舞いにも変化が出てきているという。
「昨年はJ2上がりの選手ががむしゃらに戦うところだったんですが、今はステージが1つ上がりました。それは順位というか環境が人を作るのもあると思うんです。勝てるようになってからロッカーではみんな落ち着いて、静かに集中している。
ミシャはミーティングでよく『アップから悠々と胸を張っていこう。強いチームとはそういうものだ』というんですけど、3位という自信と誇りを胸にピッチに出ていっている。それって相手には脅威になると思うんです。今までなかったことですし、上位にいられることで変わったことですね」