話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
都倉賢がミシャサッカーに適応中。
「3位の自信と誇りを胸にピッチへ」
posted2018/05/16 16:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
勢いが止まらない。
コンサドーレ札幌は、2位のFC東京と対戦しスコアレスドローで終わったものの、これで4節から14節まで11試合負けなし。7勝5分2敗、3位をキープしている。
6節から3連勝した時は、「春の珍事」「単なるラッキー」とその力を揶揄する声もあったが、いつの間にかそんな声は聞こえなくなった。11試合負けなしというのは運だけでは説明がつかず、力がついてきているからことの証拠でもある。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指揮を執り始めて、まだ4カ月程度。
難解とも、成熟に時間を要すとも言われたミシャのサッカーをこれほど短期間で形にした選手たちの戦術理解度と適応力に驚くしかないが、エースの都倉賢は「時間が経てばもっとオートマティックに動けるようになる」と、さらなる進化の手応えを感じている。
「このドローにもチームの成長をすごく感じました」
都倉はそう言った。
相手の出方に応じてスタイルを変更。
この日、GKを含め最終ラインからしっかりつないでくる札幌の出鼻を挫こうと、FC東京は前線から猛烈なプレッシャーをかけた。プレスをかけてボールを奪う、あるいはそこでミスをしたボールを拾って素早くゴールに迫るように長谷川健太監督は指示していたという。
戦術に固執し、自分たちのスタイルを貫こうとすると、そこで相手のやり方にハマり、苦戦することになる。
札幌も序盤は苦しい展開になったが、途中からつなぎ一辺倒ではなく、前に大きく蹴る場面を増やした。相手の出方を見て、臨機応変にスタイルを変えたのだ。これは言葉でいうと簡単だが、なかなか容易にできることではない。
「本当は全部うしろからつなぐことができればいいんですけど、あれだけ前から来られるとね。わざわざ相手の厳しいプレスを受ける必要がないですし、前には僕とジェイがいるんで、競り合いはほとんど勝てる。そこにボランチが寄せてくればセカンドボールを拾える。じゃそうしようという割り切りと頭の切り替えができた」(都倉)