話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
都倉賢がミシャサッカーに適応中。
「3位の自信と誇りを胸にピッチへ」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/05/16 16:30
空中戦のイメージが強かった都倉賢だが、ミシャサッカーに見事にフィットしている。
ボールを持つ時間が増え、90分走りきれる。
好調なチームにあって攻撃を支えているのがチャナティップであり、都倉賢である。FC東京戦のキックオフ前、都倉は膝をピッチにつき、スタッフにうしろ足を押さえてもらいそのまま前に倒れる動作をしていた。
ストレッチかと思いきや「すぐにスプリントできるように腿裏に刺激を入れていた」のだという。その効果か、序盤から猛烈なスプリントを見せ、90分間通して運動量が全く落ちなかった。
また、今シーズンは11試合5得点でチーム内得点トップ、湘南戦、柏戦では終わり間際に決勝ゴールを挙げるなど「試合を決める男」として勝負強さを見せている。
「ビルドアップする時間が長くなっているし、もちろん練習の強度が上がっているのもあるんですが、足がつる選手がいなくなり、90分走っても足が残るようになりました。
後半に相手の動きがガクっと落ちた中、チームとしてゴールに向かう部分で相手より足が残っているんで、それが僕の決勝点につながっているんだと思います。だから僕がというよりも、チームとして最後に押し込めているから、点が取れている感じです」
「自分の技術が上がったとかではなくて」
FC東京戦は空中戦が多くなり、ジェイと都倉、チャナティップの3人のユニットで打開する展開は少なかったが、都倉がトップにいる時はシャドーとともにシステマティックに動くことでチャンスも増え、全体のシュートも増えた。
1試合平均のシュートは12.1本でリーグ1位、1試合平均得点数1.4点はリーグ3位だ。ちなみに昨年の1試合平均のシュート数は9.1本で12位、1試合平均得点数は1.1点でリーグ12位だった。都倉自身のプレーの質も上がってきているように見える。
「攻撃力が上がっているのは、例えば3人の前のユニットはまずポジション取りをミシャに言われて、こういうシチュエーションの時はこうするというのを練習からきちんと決めて、それをピッチで表現できているからです。特に自分の技術が上がったとかではなくて、練習で反復してきたことが試合に落とし込んでできているのがいいプレーに繋がっているのかなと思います」
本人は謙虚だが、ミシャの戦術を理解することで個人戦術を含め、幅はだいぶ広がったはずだ。それはイコール今後も伸び代があるということだ。チーム目標も当初は残留だったが、ここにきて上方修正されている。