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異論承知で言う、MVPはブッフォン!
史上初7連覇ユーベのみが持つ強さ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/05/16 11:30
'01年からユーベに在籍しているブッフォン(中央)。9度のセリエA優勝と共に、スクデット剥奪、2部降格も味わっている。
見た目が智将のアッレグリは“博徒”。
偉業を達成した指揮官アッレグリの手腕にも触れないわけにはいかない。
指導者としてのスクデット個人4連覇は1930年代の名将カルカーノ以来、史上2人目だ。アッレグリは今や欧州中のビッグクラブ垂涎の的になった。
敵味方ヘの洞察力の鋭さやシーズン中にチームを修正する能力を観察していると、彼をそら恐ろしい、と感じることがある。
アッレグリの正体とは、ニヒルな優男や才知あふれる智将といったイメージとは裏腹に、切った張ったの勝負の世界に生きる“博徒”ではないか。勝ち続ける彼を見ながら、年々その考えが強くなっている。
勝負度胸というか胆力というか、とにかく勝負師としての凄みでいえば、アッレグリはナポリの闘将サッリの上をいった。
今季象徴的だったのは、ナポリに衝撃的敗戦を喫した直後「さあ、面白くなってきた。この試合こそ決定的一戦だ」と臨んだインテル戦に、FWクアドラドを右サイドバックで先発させ、2バックで臨んだ大博打だ。
実はこの奇策は機能しなかった。事実、86分までユベントスは死に体だった。
だが、博徒アッレグリの勝負勘は崖っぷちでこそ真価を発揮する。
先発から外したディバラとベルナルデスキを後半途中から投入し、敵将スパレッティが攻守の要だったエースのイカルディを下げ経験不足のサントンを入れた愚策を突いて、敗退濃厚だった流れを完全に逆転させた。
「つねに蛮勇を振るう気概を持て」
アッレグリはコッパ・イタリア決勝でも、インテル戦で逆転弾を決めたイグアインをスタメンから外すサプライズ起用に踏み切り、結果的に4発大勝に繋げている。
「つねに蛮勇を振るう気概を持て」と説くアッレグリのサッカー観は独特だ。
「サッカーは1分あればすべてが変わるし、また変えられる」
今季もスクデットをかけた勝負を終えた安堵からか、ローマ戦後の博徒アッレグリはマイクに向かって、手の内というか、心情を晒した。