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異論承知で言う、MVPはブッフォン!
史上初7連覇ユーベのみが持つ強さ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/05/16 11:30
'01年からユーベに在籍しているブッフォン(中央)。9度のセリエA優勝と共に、スクデット剥奪、2部降格も味わっている。
心をへし折られたナポリの敗戦。
ナポリはインテルがリードしていた86分まで、自分たちの逆転スクデットを微塵も疑っていなかった。だが直接戦わなくとも、イグアインのゴールはナポリの心を根本からへし折った。
翌日のフィオレンティーナ戦に臨んだナポリは、試合開始8分にDFクリバリーを一発退場で失い、10人になった時点で緊張の糸がブッツリ切れてしまった。敵地で無類の強さを発揮してきたはずのナポリは誰も走れなかった。シメオネにハットトリックを許し、547日ぶりにアウェーゲームでの敗戦を喫した。今季のセリエAは、そこで事実上の終戦を迎えた。
ローマとの37節に引き分けて、ユベントスは7連覇を確定させた。
現地メディアでは今季のMVPは誰か、という議論がかまびすしい。
ただ、インテル戦で劇的な決勝ゴールを奪ったイグアインにしても、10番を背負うディバラにしても、終盤に抜群の助っ人ぶりを見せたダグラス・コスタもMVPに推すにはそれぞれ決め手に欠ける。
鋼のメンタルは誰にも真似できない。
異論を承知で言わせてもらうなら、やはりブッフォンではないかと思う。
17年前の入団以来、彼のユベントスでの通算出場数は今季500試合を超えた。全盛期と比べれば至近距離のシュートへの反応速度や基礎体力は明らかに低下している。
それでも、百戦錬磨の彼だけが持つ鋼のメンタルだけは誰にも真似できない。
ブッフォンのキャプテンシーだけは、技巧を尽くすナポリであろうが中国マネーのミラノ勢だろうが持つことは叶わない、ユベントスだけのアドバンテージだった。
レアル戦でのPK献上とナポリ戦の失点を生んだマークミスによって猛批判を受けたDFベナティアは、コッパ・イタリア決勝戦で2ゴールを上げた後、辛かった時期に支えてくれた主将以下チームメイトたちこそ本当の殊勲者だと強調した。
「ブッフォン、バルザーリ、キエッリーニ……彼らについていけば間違いなく勝てる。俺たちユベントスはだから強い」