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サッカー界で国境が急速に無意味に。
「自国の代表監督」にこだわるな。
posted2018/05/15 07:00
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Takashi Sugiyama
そこがいいのだと言う人もいるだろうが、イギリスで残念なのは天候と食事だと個人的に思い込んでいる。だが、食事に特段こだわりを持たない父いわく、今までで一番おいしいカレーをいただいたのは、ロンドンだそうだ。
以前、マルセイユのレストラン、というよりも食堂にふらりと入ったときのこと。モロッコでよく食べられるクスクスが、普通に供されていた。
「おいしいか?」
問いかけてきた店員に、もちろんだと答えると、顔をくしゃくしゃにして喜んでいた。
今年の6月に開幕するロシア・ワールドカップ(W杯)に5大会ぶりに出場するモロッコ代表は、ヨーロッパ風味である。
欧州で生まれ育つアフリカ国籍選手。
マルセイユでプロとして歩み始め、ウディネーゼとローマを経て、最近はバイエルンにユベントスと各国王者でプレーする大黒柱のメディ・ベナティアは、フランスで生まれ育った。
このキャプテンを筆頭に、オランダ生まれのノルディン・アムラバト、アヤックスやチェルシーの下部組織で成長したムバラク・ブスファなど主力の多く、いやメンバーのほとんどがヨーロッパを“地元”とし、育まれてきた選手たちだ。
ライトバックのアクラフ・ハキミは2年前の2016年10月、17歳でフル代表にデビューした。同じ年にはU-23代表でも「飛び級」を経験しているが、U-17、U-20とモロッコ代表のユニホームに袖を通してきた。
そんな彼の生誕地は、スペインの首都マドリードだ。今シーズンから正式にトップチームに昇格したレアル・マドリーでは、ジネディーヌ・ジダン監督からも高い評価を受けている。