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敗戦後の空港ロビーで見た幸せな光景。
主将・中田翔が起こす化学反応とは? 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2018/05/11 10:30

敗戦後の空港ロビーで見た幸せな光景。主将・中田翔が起こす化学反応とは?<Number Web> photograph by Kyodo News

主将として4番を任されている中田は本塁打を量産。5月9日のオリックス戦(京セラドーム)では通算1000本安打を達成した。

「1人と撮ったからみんなともすべき」

 近寄りがたいキャラクターでもある中田選手。

 その中には勇気を振り絞って歩み寄った方々も、きっといただろう。中田選手の心意気も含め、見て見ぬふりをすべきケース。その時の適切な「広報判断」だと考えた。

 後日、聞いた。なぜ、丹念にその求めに応じたのか――。中田選手の返答は、明快だった。

「最初に子供が1人でおって、その子にお願いされて撮ったんよ。1人と撮ったからみんなともすべきやろ」

 至極、まっとうなポリシーだった。

 見た目そのまま、メディアを通じて知られる言動などでも顕著である。中田選手は、おとこ気にあふれるタイプ。特に女性と子供には、チームでも他の追随を許さないくらい優しいのは、球団内の共有事項だ。

 移動のバスの車中から、街頭から手を振ってくれるファンの方々にも、手を振り返して、または会釈をして気さくに応じることもある。

こどもの日のインタビューでのアドリブ。

 冒頭のシーンだけではなく、よくファンの方々と触れ合うシーンを目にするが、敬服するほど体温を感じるコミュニケーションを取る。しかも、さりげないのである。私たち広報も含め、球団職員に対しても同じである。

 5月5日の「こどもの日」に、中田選手は本塁打を放った。大田泰示選手とともに札幌ドームのお立ち台に選ばれた。同日は、インタビュアーが子供2人。父でもある2人で息を合わせて、心温まるアドリブを敢行した。

 本拠地ではヒーローインタビュー終了後に、内外野をランニングして場内を1周するのが慣例。本来は、その子供2人はお立ち台でお役ごめんだったが、両選手で「いくぞ」と声を掛けていた。一緒にウイニングランをした。

 その子供2人の喜ぶ姿と、興奮した表情に、その粋な計らいの価値が表れていた。

【次ページ】 野球人生初となるキャプテン。

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