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西武打線はなぜこれほど圧倒的か?
秋山翔吾は長距離打者の繊細さに感謝。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/05/03 08:00
チーム打率は2割9分3厘(4月30日時点)。打撃の破壊力に加え機動力にも優れ、バリエーション豊かな攻撃パターンで圧倒している。
勝っているからできるのか、それとも。
「その打ち方の感覚が良くて去年の後半から終盤にかけて、徐々に打率が上がっていきました。そこからバッティングに対する意識は変えていないですね」
昨シーズンまで、炭谷は頻繁にフォームを変えることで知られていたが、現在の感覚をつかんで以降は、打撃に迷いがなくなった。今シーズンは森との併用で出番こそ少ないものの、炭谷がこのまま好調を維持できれば5月以降もチームにとっては心強い。
今シーズンもトップバッターとしてチームをけん引する秋山は、開幕ダッシュの要因についてこう分析する。
「僕は今1番に固定されていますけど、誰がどの打順に入っても、『自分1人の力でなんとかしよう』という風には見えないと思います。勝っているからそれができるのか、じゃあ、負けが込んだときにどうできるのか。それが今シーズンの鍵になると思います。
これまではリードを許した場面でも、中盤で得点した試合もありました。まだシーズン序盤で、このあと何度も対戦する投手なので、それぞれのバッターがなんとか攻略法を探して対応できている証拠じゃないかと思います」
長距離打者にとって「つなぐ」のは難しい。
秋山、源田など俊足巧打の選手と、浅村、山川、中村剛也に代表される長距離打者ら、ライオンズ打線は持ち味の異なる打者で構成されているように見える。しかしバッティングに関しての共通認識は明確だ。
秋山は続ける。
「“つなぐ意識”という表現は、もしかしたら簡単に聞こえるかもしれないけれど、たとえば僕みたいに塁に出ることを期待されるだけの選手だったら、“つなぐ意識を持とう”と言われても、特にやるべき仕事は変わらない。
でもホームランバッターがフォアボールを選ぶのは、それほど簡単じゃないと思います。でもライオンズのホームランバッターは、他の選手と同じように次の打者につないでくれる。その姿を見て、他の選手たちも『つながなきゃいけないな』と改めて気づく。その意識でこういう試合ができているんだと思いますね」
一発長打が多く一見、大味に見えるクリーンアップだが、かといって決して雑ではない。「一打席を丁寧に」という繊細さも兼ね備えている。