プロ野球PRESSBACK NUMBER
西武打線はなぜこれほど圧倒的か?
秋山翔吾は長距離打者の繊細さに感謝。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/05/03 08:00
チーム打率は2割9分3厘(4月30日時点)。打撃の破壊力に加え機動力にも優れ、バリエーション豊かな攻撃パターンで圧倒している。
炭谷「打者の好調な時期が開幕に揃った」
そして大量得点と同時に、終盤での逆転が多いのも今シーズンのライオンズ打線の特徴である。
「その打席を丁寧に……という、それぞれの選手の姿勢が出ていると思います。追いつこうというよりも、一人一人がいい加減なスイングをしないとか、ひとつの打席を大事にするという姿勢ですよね」(秋山)
9-3で逆転勝ちを収めた4月21日の千葉ロッテマリーンズ戦のあと、辻発彦監督はこう振り返った。
「ホームランのあとも攻撃の手を緩めない。すべての選手が自分の打席を大切に戦っています。たったひとつの打席の結果で調子を落とすこともある。そこは選手もわかっているでしょう」
炭谷は語る。
「打者の好調な時期がシーズン開幕に揃ったという見方もできます。長いシーズンの間には、いつかは調子が落ちてくる時期もあるでしょう。そのときにどうするかが大事だと思っています。必要なのは、同じようにすることですよね。ムードを良くして、一打席を丁寧に、自分のやるべきことを実行する」
今と同じ雰囲気を作り続けることができれば。
貯金14で4月を終える上々のスタートを切ったライオンズだが、まだペナントレースが始まって1カ月。このあと、正念場は何度も訪れるだろう。それは選手自身も覚悟している。
「積極的に声をかけたりすることが大事になってきます。今と同じ雰囲気を作っていこうと考えています」(炭谷)
どんな大勝にも驕りはない。その『覚悟』が、今シーズンのライオンズの最大の強みになる気がしてならない。