ぶら野球BACK NUMBER
野球好きなら絶対に栃木に行くべし!
村田修一の元気プレーを観戦する幸福。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2018/04/29 11:30
うららかな春の日差しが眩しい小山運動公園野球場までの道を歩む……歩む……歩む……迷ったかなぁ。
球場周辺は大渋滞、栃木の村田フィーバー。
まあ焦らずこれから……と思ったら、球場が近付くにつれて渋滞にはまっていく。
あれぇ混んでますねぇなんて呑気に呟く運転手のおじさんを横目に「ここから歩きます」と告げ、降りる。こんなこともあろうかとリーボックのポンプフューリーを履いてきたのだ!
地方の野球観戦はタクシーにしろバスにしろとにかく歩く。今回のように公園内に位置する球場ならなおさらだ。だから、最も歩きやすいスニーカーが地方野球観戦にはベストなのである。
「躍動」というゴールデンブレーブスのフラッグが立つ道を歩きながら周囲を見渡すと、中古車屋の向こう側に巨大スーパーが見える。そう言えば、村田さんにインタビューした時、スーパーで単身赴任生活の夕食のおかずを選ぶと笑いながら言ってたな。「お、お刺身あるな。20パーセントオフか。今日食えればこれはちょっと安くつくなみたいなのは楽しいですかね」なんつって。巨人からの突然の自由契約についても、「どこの会社も一緒、クビって言われたらクビなんで。そこは受け入れないと次に進めない」と明るく前を向く37歳。そんな男の姿に栃木での地元開幕戦は絶対に来ようと決めたのだった。
筋肉痛になるほど歩くのも……時には悪くない。
「村田、見にきてんだよ! そう、巨人にいた村田!」
途中、ガラケーでがなるご機嫌なおじさんを追い抜きひたすら歩く。
こっちが近道かなとか人の流れにはついていかずに畑を眺めたりしながら適当に歩いていたら、「銃猟禁止区域」という赤い立て看板に出くわしたりと、さすがにプレイボールに間に合うか怪しくなってきたので焦り出す。
スマホのナビ頼りにそこからさらに10分弱歩いて、ようやく球場が見えてきた。
都内では考えられない距離を歩いてるが、汗をかき久々の筋肉痛になるのも悪くない。そう言えば、子どもの頃はいつだって傷だらけだったのに、最近はヒリヒリする擦り傷や筋肉痛とは無縁の生活になってしまった。