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テニス、ゴルフ同様のランキング制に。
陸上界改革で東京五輪はどうなる?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2018/04/26 07:30
昨年の世界陸上でリレーメンバーだった桐生、多田、ケンブリッジ、飯塚……東京五輪へ向け、ライバル争いはさらに加速する。
現在の日本選手のランキングは……。
戦国時代が予想される男子100mの日本選手のランキングは、以下のようになっている。(4月18日時点)
桐生祥秀、サニブラウン・アブデル・ハキーム:1199点、32位
ケンブリッジ飛鳥 :1184点、43位
多田修平 :1176点、54位
山縣亮太 :1156点、74位
前述したように結果が良かった5試合の平均点だが、内訳を見ると、桐生の最高点は9秒98を出した日本学生選手権で1228点。ローマDLは10秒18で6位だったが1226点となっている。一方、日本選手権を10秒05で優勝したサニブラウンは1269点を獲得し、桐生の9秒98を41点も上回っている。ケンブリッジも上海DLで10秒19で4位ながら1222点で平均点を上げているが、昨年10秒07の多田、10秒00の山縣は、好タイムを出した試合が国内だったため低い点に終わっている。
自己ベストに届かない平凡なタイムでも大会のグレードが高ければ点数が上がるという仕組みが上記からよく分かる。
ランキング制の問題や弊害はあるのか?
ファンにとっては分かりやすいシステムにも見えるけれど、選手側にはプラスになることが現時点では見受けられない。
まずランキング上位者に対して賞金の授与や翌年に希望するDLに出る権利などの提示もない。
一方、ランキングが50番前後で、五輪や世界選手権の出場がギリギリの選手にとっては、ランキングを上げるために海外、主にヨーロッパの海外遠征に行かなければならず、資金的な問題を抱えることになる。