JリーグPRESSBACK NUMBER
“政一語”浸透の新潟が岡山に挑む。
突然の3バック変更の真意とは?
text by
大中祐二Yuji Onaka
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/07 09:00
昨年J1でも24試合に出場し、今年もスタメン出場を続ける堀米悠斗。新システムへの順応は順調か。
3バックでの初戦は、シーズン初の複数失点。
4-4-2で3バックのチームに対峙するとき、システム上の齟齬は際立ちやすい。それに、いかにうまく対応するか。堀米は片渕ヘッドコーチと話し合ったばかりだった。突然のシステム変更は、堀米からすれば夢中になって解こうとしていたパズルを、いきなり取り上げられたような心境だったのかもしれない。
果たして、初夏を思わせる快晴のえがおスタジアムで、新潟は熊本に1-3と完敗した。24分、スルーパス1本で3バックの間を破られ、抜け出した安柄俊に先制ゴールを奪われると、26分、55分と俊足の田中達也に堀米が背後を取られてクロスを上げられ、安、八久保颯に追加点を許した。
ルヴァンカップを含めても、複数失点はシーズン初めてのことだった。
それまでリーグ戦では1試合平均0.5失点に抑えていた守備のメカニズムはシンプルだ。鈴木監督が選手に求めるのは、ファーストディフェンダーがパスコースを限定すること、ボールサイドが数的同数になれば奪いにいくこと、あとはカバーリングとマーキングである。
鈴木政一監督の“政一語”。
ここに、指揮官の少々ユニークな“政一語”が関わってくる。
「オン・ザ・ボール」、「オフ・ザ・ボール」とは、よく言われるところだ。ボールに関わっている選手と、関わっていない選手。鈴木監督は、このオンとオフのステータスを、攻撃のときにオンの選手とオフの選手、守備のときにオンの選手とオフの選手という具合に、攻守どちらにも適用する。
転がるボールに応じて、それぞれのステータスは刻々と変わる。オンからオフ、オフからオン、オンからオン、オフからオフ。選手たちは、状況に応じて判断し続けなければならない。
J1から降格し、'15年ぶりにJ2を戦う今シーズン、新たに新潟を率いる鈴木監督がまず着手したのが守備の改善だった。示唆的だったのが、1月の高知での1次キャンプ最初に行ったトレーニングメニューである。
攻撃側は4人1組が横に並び、2組が向かい合う。守備側は4人が列をつくって、その間に入る。攻撃側は横パスで守備列を揺さぶりながら、対岸にパスを通すことを狙う。守備側はボールにプレッシャーを掛けつつスライドしたり、中を絞ったりして、パスカットを狙う。
攻撃も守備も、選手たちの状態はオンとオフの間で変動し続ける。守備に限れば、相手のボールホルダーに誰かが寄せるとき、それに合わせて周りの3人もポジションを変えるわけだが、ボールチェックに行く「守備でオンの選手」の寄せる角度、スピード、距離によって、「守備でオフの選手」の動き方も変わる。それが連続する先に、守備の連動性が生まれる。