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“政一語”浸透の新潟が岡山に挑む。
突然の3バック変更の真意とは?
text by
大中祐二Yuji Onaka
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/07 09:00
昨年J1でも24試合に出場し、今年もスタメン出場を続ける堀米悠斗。新システムへの順応は順調か。
「ここにはサッカーのすべてが入っている」
独特のトレーニングメニューが、もう1つ。いわゆるボール回しだ。鈴木監督のボール回しは4対2、俗にいう“よんにー”ではなく、3対2である。「ここにはね、サッカーのすべてが入っているんですよ。守備は2対2に持ち込まないとボールを奪えないし、攻撃はオフの選手が止まっていたらパスコースができないから」と、鈴木監督。
守備で数的同数に持ち込む局面は、オフからオンへの切り替えそのものだ。
日々、磨きを掛ける守備のメカニズムが機能すれば、熊本戦の失点も防ぎ方があったはず。失点は4バックか3バックかの問題ではない。それが、熊本戦後のチームの共通認識である。
3失点を食らった当事者たちが、状況を放置しているはずがない。熊本戦で左ウイングバックとしてプレーした堀米と、3バックの左でプレーしたソン・ジュフンは、翌日、入念に話し合っている。
「ジュフンには、『しっかりカバーリングに行ける位置にいてあげられなくて、ごめんね』と言われました。カバーはお互いさま。僕もジュフンには、ボールが逆サイドにあるとき、しっかり絞ってほしいと言われているし」(堀米)
慣れた4バックでメカニズムを作り……。
興味深いのは、鈴木監督の選手たちへのシステム変更の伝え方である。
「守備のとき、ボールと逆サイドのゴメスかミチ(安田理大、3-6-1では右ウイングバック)が落ちれば、最終ラインは4バックになる、というのが監督の説明でした」(堀米)
守備時に両ウイングバックが下がって最終ラインに5人が並ぶ3バックと、新潟の3バックとでは、同じ3バックでも違いがある。
なぜ、熊本戦2日前のシステム変更だったのか。
「これまで4バックだったのは、1つには去年がそうだったので選手たちが慣れているということがあります。もう1つは、このチームはずっと守備がルーズだった。それを4枚(4バック)で修正して、マーキングやカバーリング、くさびのボールへのチェックなど、意識してプレーできるようになってきた」
守備のメカニズムが機能し始めたとチームの現状を分析した鈴木監督は、こうして3バックのトライに踏み切った。