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桜花賞にかかる「61年ぶりの偉業」。
無敗+2歳女王のライラック出陣。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/04/07 17:00
圧倒的一番人気のラッキーライラックだが、陣営にとっても望んではいなかった最内の1枠1番。果たして結果は?
ウオッカ以上の末脚で勝ってきた。
何より、新馬-アルテミスステークス-阪神ジュベナイルフィリーズ-チューリップ賞と4戦4勝で来た強さは飛び抜けている。
どこからでも競馬ができるので、ペースや枠順に左右されない。また、牝馬らしからぬ安定した走りができることに加え、「武器比べ」となることの多いGIでは心強い「瞬発力」という大きな武器がある。
阪神ジュベナイルで繰り出したラスト3ハロン33秒7の末脚は、コースが改修された2006年以降の勝ち馬の中で最速の上がりだった。つまりこの馬は、ウオッカやブエナビスタよりも鋭い末脚を発揮したのだ。
馬場状態やペースで上がりは変わってくるので単純な比較はできないとはいえ、「絶対的な武器」であることは確かだ。
「牝馬のミキオ」と言われた松永調教師。
管理する松永幹夫調教師は、騎手時代に制したJRA・GI6勝すべてが牝馬によるもので、「牝馬のミキオ」と言われた。調教師としてのGI勝利も同様で、レッドディザイアによる'09年秋華賞と、ラッキーライラックによる阪神ジュベナイルは、どちらも牝馬によるものだ。
彼はまた騎手時代、5戦5勝のイソノルーブルで1991年の桜花賞に臨み、5着に敗れた苦い経験を持っている。
ゲート入りする前に落鉄し、馬が暴れて蹄鉄を打ち直すことができないまま走って敗れた。「裸足の女王」と呼ばれたイソノルーブルは、次走のオークスを制し、雪辱を果たす。
その後、'97年にキョウエイマーチ、'00年にチアズグレイスで桜花賞を勝ち、調教師としてレッドディザイアで'09年に2着になった彼は、桜花賞を戦うには、いかに馬の精神状態のケアが重要かを熟知している。
騎手としても調教師としても桜花賞を勝てば、武田文吾、八木沢勝美、瀬戸口勉、本田優につづく5人目の偉業となる。