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柳田将洋が明かすプロ転身の理由。
「社員時代は先が見え過ぎていて」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2018/03/31 17:00
柳田将洋はドイツ挑戦1年目を楽しそうに過ごしている。キャプテンを任された事もあり、一人称も「オレ」に変わったという。
プロへの転身、そして海外移籍。
――お話を聞いていると、決してギャンブラーというタイプではなさそうな印象です。例えばビゾンスというドイツで中位のチームを選択したのも慎重だなと。
「もちろんプロになったからといって、全て勢いのままというわけにはいかない。むしろ、プロになったからこそしっかり固めて1年を過ごさないと、もう来年がなくなってしまうし、プレーすらできなくなってしまう。それは一番あってはなりません」
――そういうタイプなのに、よくプロになる決意をしたなと思ってしまいます。
「でも、自分が成長することを考えると、一歩踏み出さないと。あくまで僕が見て感じたことですが、サントリーの2シーズンちょっとで、本当に1日1日の変化があまりないように感じたんです。そしてそれを何年もすごして、そのうち優勝もできるかもしれない。でも、自分の評価はどこでされるんだっていう思いもありました」
――プロになると言い出した時、反対意見はありませんでした?
「まあ、多少はありました。プロになってどうしたいのとか、企業のほうが安定してるのに、なんで自分から外に踏み出すのか、そういう質問はありました。でも、その時点で僕からするとちょっとわからない。僕はそこにこそ魅力を感じるしやってみたい、というだけで」
――やってみたいんだからやってみたい、ってことですね。
「そうです。リスクはもちろんあるけど、得られるものがたくさんあって、どんどん変化して、苦労するけど何かできるようになったりするほうが、僕はいいと思う。それよりも、できることをずっと繰り返して、何も変わらないことのほうが怖い」
――日本でプロになるっていう選択肢は?
「ありませんでした。プロ転向と同時に海外いきたいと思ってたので」
――環境も変えたかったのですね?
「環境を変えたいのもそうですけど、代表でプレーし続けたいので、海外でプレーすることをノーマルにしたかった。それと、もうすぐ海外シーズン1年目が終わりそうですけど、今後ステップアップしていって成長を実感したいというのもあります。良いプレーして数字を残せば強豪から声がかかるし、ダメなら声がかからない。こっちの世界ではそれがあたりまえなので」
誰もが羨むような安定を捨ててでも、勝負の世界へ足を踏み入れたかった。変わらない日常に見切りをつけ、バレーボール一本でどこまで上っていけるのか、成長を実感してみたかった。そんな純粋な動機はかえって新鮮に響く。